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2021-05-14

【相撲編集部が選ぶ夏場所6日目の一番】髙安、1敗対決を制し、1差で照ノ富士を追走

好調な1敗同士の対戦は、御嶽海の逆襲を捨て身の上手投げでかわした髙安に軍配が上がった

髙安(上手投げ)御嶽海

先場所の髙安は10日目を終えて後続に2差をつける単独トップ。初優勝が目前だったのに、終盤の5日間は1勝4敗で、天皇賜盃がするりと手の中から逃げてしまった。最後は緊張で力が発揮できなかったが、髙安も照ノ富士と同様に大関時代の力が戻ってきていると言える。

苦い経験も「いい勉強になった」と前向き。今場所も序盤の5日間は4勝1敗と好調で、同じく1敗の御嶽海と顔が合った。対戦成績は髙安が17勝6敗と大きくリードも、今場所の御嶽海は気合が入っており、熱戦が期待された。

立ち合い、分の悪い御嶽海は考えてモロ手突きで立った。相手の上体を起こし、突っ張ってから右を差し、左も入ってモロ差し。髙安は右上手を取って回り込みながらしのぐ。再び、両者の体が離れて押し合い。今度は髙安が前に攻め込む。御嶽海は回り込みながら、一瞬のスキをついて右を深く差して逆襲。土俵に詰まった髙安だが、とっさにつかんだ左から捨て身の上手投げ。髙安も倒れ込んだが、その前に御嶽海が一回転しており、木村容堂の軍配は髙安へ。際どい相撲も物言いはつかず、髙安が1敗を守った。

「中に何回か入られたんですけど、前向きに取れたのでよかったです。腰を落として我慢できました」と髙安。お互いに我慢の相撲だった。「最後の投げも際どかったけど、勝ちにつながってよかった。相手も好調だったので、今後につながると思う」と語る。全勝の照ノ富士とは終盤に対戦がある。髙安は照ノ富士が最も苦手にしている相手で、このままついていけば優勝争いが大いに盛り上がるだろう。

また、先場所は出産のため夫人の杜このみさんが実家のある北海道に帰っていたが、今は誕生した愛娘と3人で生活している。これも髙安にとって大きい。「毎日、娘に癒されながら、(妻に)しっかりサポートしてもらっています。帰ったら家族が待っているのでホッとします。自分1人じゃなく、3人で戦っていると思うと心強いし、精いっぱい頑張って家族を喜ばせたいと思う」と家族の存在が大きな力になっている。

3日前には「出産には立ち会えなかったんですけど、実際に抱いてみてとても感動しました。もう1回、番付を上げたいという覚悟ができました」と語っている。「千秋楽まで優勝争いに絡めるように頑張ります」と締めくくった髙安。先場所、抱き損ねた賜盃を手にすれば、大関復帰も現実味を帯びてくる。

文=山口亜土

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