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2021-05-17

【相撲編集部が選ぶ夏場所9日目の一番】照ノ富士、難敵髙安降し、後続に2差つける

無敗でトップを走る照ノ富士は、苦手の髙安に攻め込まれるも土俵際の叩きで逆転勝ち

照ノ富士(叩き込み)髙安

大関復帰を果たした照ノ富士がただ1人全勝で迎えた9日目、照ノ富士-髙安の優勝の行方を占う大一番が組まれた。照ノ富士は髙安に4連敗中で、最も苦手な力士。逆に髙安は自信を持っている。髙安が突っ張って照ノ富士の上体を起こし、深く差して中に入るのがいつものパターンだが、今場所はどんな展開となるのか。

軍配が返り、先に手をついて待つ髙安。照ノ富士がサッと手をついて立ち上がった。当たった瞬間に髙安がモロ差し。照ノ富士は左手を伸ばして上手を狙うが届かない。それでも頭を上げず低い体勢で圧力をかけると、髙安は振りほどいて張り手を交えた突っ張り。照ノ富士は我慢して頭を上げず低い体勢を保つが、髙安に頭を押さえつけられ、右から差し手を返されて起こされる。髙安はそこをチャンスと一気に前に出たものの、土俵際で叩かれてバッタリ。照ノ富士も土俵を飛び出したが、軍配は照ノ富士に上がった。

際どい相撲に「同体ではないか」と物言いがつき、協議の結果、髙安の手つきが早く、軍配どおり照ノ富士の勝ちとなった。照ノ富士は全勝を守り、髙安は3敗となって優勝争いから大きく後退した。

リモート取材に臨んだ照ノ富士は、「残った感覚はあった。我慢してよかったです」とホッとした表情。上体が起きないように我慢し続けたことが勝ちにつながった。苦手な相手に対しての作戦を聞かれると、「自分の相撲を取るだけなんで」。連敗していた相手に勝てたのは大きい? と聞かれると、「よかったと思います」と短く答え、あとは質問を遮るように、「じゃあ」と言って足早に国技館をあとにした。

ただ1人1差で追っていた貴景勝は大栄翔に敗れて2敗。照ノ富士が後続に2差をつける独走ムードになってきた。星を整理すると全勝が照ノ富士で、2敗に貴景勝、御嶽海、逸ノ城、遠藤、千代大龍の5人。照ノ富士は三役陣、前頭2枚目までの力士とは対戦が終わっており、残る強敵は3大関だけ(西5枚目の阿武咲と当ててほしいが)。場所の盛り上がりが欠けるだけに、3大関には意地を見せてもらいたい。

文=山口亜土

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