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2021-05-21

【ボクシング】チャンピオン対決は35歳・清水が制す 無敗の21歳・森を退け「成長できました」

清水(右)の右ジャブが森にヒット

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 東洋太平洋フェザー級チャンピオン清水聡(大橋)対WBOアジアパシフィック同級チャンピオン森武蔵(薬師寺)の王座統一戦12回戦は21日、東京・後楽園ホールで行われ、清水が3-0の判定勝ちを収めた。清水は王座統一とともに、通算6度目の防衛に成功。13戦目で初黒星の森は、4度目の防衛に失敗した。

 今年、国内最高のカードと謳われた新旧の王者対決。35歳の清水に対し、21歳の森が試みたのは、徹底した接近戦だった。これまでも相手や戦況に応じて様々なスタイルを駆使してきた森。初回、右ジャブの差し合いに続けて放たれた清水の左強打に危険を察知したか、2回からは体を密着させて距離をつぶしにかかった。

 身長179センチの清水より9センチ低い森は、巧みにもぐりこんで右フックを上下にヒット。清水もこの距離で負けずに打ち返し、試合は早くも消耗戦の様相を呈する。4回終了後に発表された途中採点は三者三様のドロー。泥臭くもクレバーな戦法で、森が自分のペースに引きずり込みつつあった。

 分岐点となったのは6回だ。「空気が悪いな」と感じた清水が、セコンドの指示どおり中間距離をキープし始めると、流れは一変。長いリーチから繰り出す左ストレートは威力、的中率とも格段と上がり、8回には森の顔面が鼻血にまみれる。10回からは足を使いながら右ジャブを突いて寄せ付けず、終盤は一方的にポイントを重ねた。判定は118対110が2人、116対112が1人だった。

 プロ戦績10戦9勝1敗で、そのすべてがKO決着だった清水にとり、9ラウンド以降も、判定勝負も今回が初体験。森は「12ラウンドの経験は自分が上」と長丁場に自信を見せていたが、実際に終盤戦を制したのは清水だった。試合の3~4日前まで、ジム6階で低酸素トレーニングをしていたのが「あと一歩」で活きたと清水は言い、ここで培ったスタミナで「気持ちだけは負けない」という森の執念のアタックを押し返した。

「成長できました」と振り返った清水。大橋秀行会長は「次は世界」と約束したが、「ありがたいお話ですけれど、今は少し休みたい」と、大一番を終えた安堵感にひたった。

文/藤木邦昭 写真/菊田義久

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