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2021-06-08

27歳の前田日明が語った“プロレス”という言葉を嫌う理由「本来の意味が失われて、一つの特殊な演劇スポーツを指す言葉になっている」

前田日明

「なぜオレが“プロレス”って言葉を嫌っているのか。なぜあえて“プロフェッショナル・レスリング”という言葉を使うのか。ファンはどこまでわかってくれてるんだろうか?」

 これは1986年12月に前田日明が語った言葉である。1984年4月にUWFを旗揚げしたものの、タイガーマスク(佐山聡)との対立もあり団体は活動停止。1986年より古巣の新日本プロレスに業務提携という形で復帰を果たしていた。同年10月にはドン・中矢・ニールセンとの異種格闘技戦で脚光を浴びて“新格闘王”と呼ばれ、まさに時代の寵児だった頃だ。

 前田の言葉は続く。

「確かに“プロレス”も本来“プロフェッショナル・レスリング”の略なんだから、同じ意味のはずなんだよね。

 でも、現在“プロレス”って言葉を使う時、そこにレスリングという意味がどれだけ含まれてるんだ? 流血、場外乱闘、ロープワーク、ペインティング…。そういったものを世間は先に連想するだろう。

 つまり、本来の意味が失われて、一つの特殊な演劇スポーツを指す言葉になってしまってるんだ。それと同じ視点からオレたちのやろうとしていることまで“プロレス”と呼ばれるのが嫌なんだよ。

 オレたちの言葉の本来の意味“プロ”の“レスリング”に誇りを持ってる。それは相手をギブアップさせるか、またKOさせるかの勝負なんだ。

 何も奇をてらった新しいことをやろうとしてるわけじゃない。“プロレス”がここ何10年かの間に身につけてきた格闘技としての余計なぜい肉を削ぎ落し、本来の姿に戻そうとしてるだけなんだよ。その姿勢をはっきりさせるために“プロフェッショナル・レスリング”という古めかしい言葉を使ってるんだ。

 現在の“プロレス”の悪いイメージが強すぎて“プロフェッショナル・レスリング”まで同一視されるようだったら、興行用に新しい名称を考えるかもしれない。新時代の総合格闘技としてね」

 前田は1988年2月に新日本プロレスから解雇されると、新生UWF、リングスで自身の求める闘いを追求。現在、プロレスと総合格闘技は完全に別ジャンルとして認識されている。

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