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2021-06-10

【ボクシング】6戦目で王座奪取の鈴木雅弘「一番になれてうれしい」 

的確なパンチで永田(右)を攻める鈴木

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 10日、東京・後楽園ホールで行われた日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦は、同級5位の挑戦者・鈴木雅弘(角海老宝石)がチャンピオンの永田大士(三迫)を10回2分9秒TKOで下し、プロ6戦目で王座を獲得した。永田は2度目の防衛に失敗した。 
 
 戦前の予告通り、開始ゴングとともに強引に距離を詰めてきたサウスポー永田。早々とロープを背負った鈴木は「むちゃくちゃ怖かったです」と試合後に打ち明けたが、逃げずに真っ向から迎え撃ち、的確な左フックをカウンター。さらに左ボディ、右アッパーとクリーンヒットをつなげ、確実にペースを握った。 
 
「足を使ったら、どこかでつかまる。前で止めて、下がって当てる」という鈴木陣営の作戦が奏功。2回からは左に次ぐ右も次々と当て、何度も永田を棒立ちにさせた。5回終了後に公開された途中採点は、2人が50対45、1人が49対46。大差のリードを確認してもなお「ここからがイーブン」と鈴木は気を緩めなかった。 
 
 終盤に入っても諦めずにパンチを振り回してくる永田の気迫に「心が折れそうになった」という鈴木だが、7回の逆襲を乗り切ると、あとは王座へまっしぐら。最終回、永田のダメージを判断したセコンドがレフェリーに棄権の合図を送り、試合は終わった。 
 
「強い永田さんに勝って、変な感じがします」と、初のベルトに戸惑ったような表情を浮かべた鈴木。小学生のとき、ダイエット目的で始めたボクシング。駿台学園高、東京農大で活躍も、仲間が次々と王者になっていく中で、自分だけ優勝とは無縁だった。「ボクシング人生で一番になったというのがうれしくて。やってきてよかったなと、やっと思えました」と喜びにひたる鈴木に、田部井要トレーナーは「ボクシングIQが高い」と目を細めた。

文/藤木邦昭 写真/菊田義久

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