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2021-06-30

【ソフトボール】「大事な場面で大事な一言を言えたら」 東京五輪日本代表の渥美万奈(2)

冷静沈着、堅実な守備で日本内野陣の要を担う渥美万奈(写真/斎藤豊)

五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

渥美万奈(トヨタ自動車/内野手)
大舞台でも変わらずいつも通りのプレーを(2)

冷静沈着、堅実な守備で日本内野陣の要を担う。2016年に現体制がスタートして以降、ずっと遊撃手の座を守ってきた。 一見クールに見えるが、心には熱いものを秘めており、仲間からの信頼も厚い。 自身の弱さを知った2018年の世界選手権から3年、成長した姿で初めての五輪の舞台に立つ。(取材は4月30日、全文はソフトボール・マガジン7月号掲載)

忘れられない守備のミス
弱さと向き合うことで強くなる

──守備面はいかがですか。
渥美 特に変えたところはありませんが、今は課題の逆シングルを練習しています。試合では、正面に入って捕ることを徹底しているので、これまではあまり使う場面がありませんでした。 でも、東京オリンピックの会場(あづま球場、横浜スタジアム)は人工芝なので球足も速くなりますし、バッターの足も多少速くなる。なので、今はノックで練習を積んでいます。
──2018年の世界選手権で自身の弱さを知ったとおっしゃっていたのが印象的でした。でも、弱さを知ったからこそ、今後に生かせるとも。
渥美 弱さを知った……、確かに知りました。普通にプレーしていましたし、緊張で舞い上がってしまったということはなくて、「待って捕ってしまった」という、守備面での後悔を振り返った一言です。決勝のアメリカ戦でのことでした。9回無死二塁の場面でショー トに打球が飛んで来たんですけど、一歩前に出れずに待ってしまったことで一・二塁にしてしまった。一歩出せていれば自分のリズムに持っていけたし、ファーストでアウトを取れていたのに。他の人からしたら、しょうがないと思える打球だったかもしれないけど、私には許せなかった。そしてその次のイニングでサヨナラ負けをくらったんです。前の回で、そのランナーを出してしまったことで打順の巡り合わせも変わっただろうし、あのプレーが後悔として残っています。また同じ場面が来たら、きっと思い出すと思います。そのときに、一歩前に出られるか、それともまた同じ過ちをおかしてしまうのか、そこで成長が問われると思います。
──今なら、来てほしいと思いますか。
渥美 その場に立ってみないと正直分からないけれど、今の守備の状態であれば、そこまで臆することはないのかなと思います。
──もう少しで初めての五輪がやってきます。チーム(トヨタ自動車)には北京五輪を経験した峰幸代選手がいますね。
渥美 峰さんとはよくしゃべるんですよ。「次のオリンピックって1敗もできないよね」とか、「初戦のオーストラリア戦の先発はカーヤ(・パーナビー、SGホールディングス)が来るかな? 今年は対戦できてないけど(編集部注:SGHは2部に降格)、それも巡り合わせなのかな」って。そんなたわいもない話をしながらバッティング練習をしたりしています。でも、まだ全然想像がつきませんね。以前、峰 さんに当時の心境を聞いたことがあったんですけど、強い自信を持ってあの舞台に立っていたんだなと感じました。明るくて前向きだし、本当に芯の強い方。近くで見ていてすごく勉強になります。
──渥美選手は、本番でどんなプレーをしたいですか。
渥美 私がどれだけ派手なプレーをしようが、エラーをしようが、一番大事なのは日本が勝つこと。こういうプレ ーをしたいというよりも、全力でプレーするとか、打ち取った打球は確実にアウトにするということをこれまでと変わらずにやっていきたいです。ファンの皆さんには、日本が勝つ姿を見てほしいですね。
──では、日本が勝つために渥美選手が担う役割は何だと思いますか。
渥美 内野陣の盛り上げ役は(山本)優さん(ビックカメラ高崎)がこれまでどおりやってくれると思うので、私は大事な場面で大事な一言を言えたらと思っています。例えば、みんなが焦っているときに、落ち着きを取り戻せるような一言が言えたら。それが私の役目だと思っています(おわり)。

【渥美万奈PROFILE】
あつみ・まな/1989年6月15日、静岡県生まれ。167cm60kg。 右投左打。内野手。常葉大附菊川高-トヨタ自動車(2008年~)。 安定感のある守備を武器に12年にレギュラーに定着し、これまで 2度ベストナインを受賞。日本代表は12年に初選出。14年世界選 手権は落選も、16年、18年と、遊撃手として2大会連続で出場。 今季リーグ成績(5節終了時点):11試合、34打席、4安打、0 本塁打、0打点、1盗塁、打撃率.143

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