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2021-06-30

【ソフトボール】MORI ALL WAVE KANOYAの挑戦(2)

2020年12月に発足したMORI ALL WABE KANOYA(撮影/新甫條利子)

今季から日本女子ソフトボールリーグ3部に参入したMORI ALL WAVE KANOYA(モリ・オール・ウェーブ・カノヤ)。1部や2部経験者も多数在籍するチームは、前半戦を終えて無傷の5連勝と快進撃を見せている。どのようにしてチームが発足し、初めての日本リーグに挑んでいるのか。ソフトボール・マガジン5月号に掲載した記事を、3回に分けて紹介する(内容は2月取材時のまま)。


(1)
https://www.bbm-japan.com/article/detail/20998

バッテリーを軸とした
令和のチームづくり

 MORIの特徴は、経験豊富なバッテリーにある。神村学園高から太陽誘電で2011年までプレーした、元日本代表の谷川まき捕手がリードする投手は3人。 谷川とのバッテリー歴が一番長い木村麻利亜は、チェンジアップを中心に緩急で打ち取るタイプの右腕。神村学園中では池田一未監督の下、全国3連覇も経験しており、神村学園高から東海学園大へ進学し、ALSOKとMORIで社会人5年目。「新しいチームだが、バッテリーを軸にチームをまとめていきたい」とシーズンを見据える。
 昨季4月にALSOKへ加入した中野花菜は、恵まれた体格から放たれる MAX93キロのスピードと、球種の豊富 さが武器のパワフルな右腕。上野由岐子擁するビックカメラ高崎(ルネサス高崎)で8年間プレーし、14年には日本代表にも選出された。 鹿児島県日置市出身で、神村学園中では木村の1学年先輩で全国3連覇を達成している。池田監督は「日本リ ーグのトップで厳しい世界を経験してきた選手。その経験を生かしながらも、今までにない伸び伸びした気持ちでやってほしい」と期待する。
 そして中野と同じく昨季4月加入で、19年の全日本クラブ選手権決勝でALSOKが対戦した大垣ミナモから移籍 した左腕の竹原由菜。池田監督は「左投手独特のライズボールは武器の一つ」 と評価する。打撃も得意で外野手もこなし、打順も上位候補だ。
「誰がエースということではなく、投手3人と経験豊富な捕手を中心に、リーグ戦を戦っていきたい」と池田監督。個性ある投手陣を谷川がリードし、対戦相手や状況に応じて使い分けていくつもりだ。


チームの特徴となる個性豊かな3投手。左から木村麻利亜、中野花菜、竹原由菜(撮影/新甫條利子)
 
 チームをまとめる主将は、内野手の西山絵梨香が務める。神村学園中・高で木村と同世代の池田監督秘蔵っ子で、伊予銀行に5年間所属し、ALSOKへ加入した。MORIが発足した20年12月から主将を務める。
 登録選手19人のうち、26歳の西山と同年代の選手が6人在籍。4月から正式加入となる大学生や高校生を含める と10人が新加入という、まさに新しくて若いチームだけに、西山は「コミュ ニケーションをしっかり取って、意見 交換しやすい環境をつくっていきた い」と話す。目指しているチーム像は他チームにはない“令和のチーム”だ。


「愛されるチームづくりを心掛けたい」と話す主将の西山絵梨香(撮影/新甫條利子)

 チームづくりについて、池田監督も このように話していた。
「新チームを発足させるにあたり、若い世代に合わせたチームづくりをしようと話し合いました。既存の実業団チームのマネではなく、令和のチームをつくろうと。若い選手もどんどん発言できる環境で、たとえ試合に負けても、エラーをしても、前向きで明るいチームにしていきたいと思っています」
 打撃面で中心となるのは、長打力のある谷川や上村麗(内野手)となる。上村は神村学園中・高から日本体育大へ進学し、日本リーグ1部の戸田中央総合病院で活躍。20年に開催予定だった鹿児島国体で県の強化指定選手に選ばれ、19年にALSOKへ加入した。野手のリーダー的存在でもあり、「小柄な選手も多いが、守備をしっかり固めていきたい」と意欲を燃やす。
 そのほかに新加入の大学生にも「まだまだ長打力はないけど、ソフトボー ルセンスのある選手がいる」と谷川。 未知数な部分はあるが、「日本リーグ初参戦なので、挑戦する気持ちを忘れずに戦いたい」(西山主将)と新たなシーズンに向かう(つづく)。

(3)
https://www.bbm-japan.com/article/detail/21000


中野花菜選手、西山絵梨香選手の対談を掲載した
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https://www.bbm-japan.com/article/detail/20597

取材・文/新甫條利子

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