close

2021-07-01

【ソフトボール】東京五輪ソフト代表の市口侑果(1)「打撃も守備もすべてで成長できた」

山田恵里を参考にバットの入れ方を見直したという市口侑果。上半身のトレーニングにも取り組み、長打力を手に入れた(写真/牛島寿人)

五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

市口侑果(ビックカメラ高崎/内野手)
ひたむきにコツコツと(1)

これまでは堅実な守備とシュアな打撃を持ち味としてきたが、今ではそこに長打力も加わった。2019年の夏から課題として取り組んできた成果が表れた形だ。実業団で真面目にコツコツと取り組んできた11年間。あこがれでしかなかったオリンピックの舞台が、間もなく現実のものとなる。(取材は4月23日、全文はソフトボール・マガジン7月号掲載)

強化選手に選ばれ続け
すべてで成長できた5年間
 
──今季のリーグ戦では一番を打つことが多いですね。
市口 リーグ2年目のときに打って以来ですけど、中学でも高校でも一番だったので昔から好きな打順ではあります。ランナーもいないし、思い切って打ちにいける。チームに勢いを与えることができる打順ですし、特に1打 席目は意識しています。もちろんプレッシャーもありますけど、ここでマイナスな打席にしてしまったら後ろに続くバッターもやりづらいと思うし、そういう思いをさせたくないと思っています。あとは、先攻だったら試合の中で一番に打席に足を踏み入れることができる。そこも好きなところです。 ──さて、日本代表候補選手の発表から今日(取材日は4月23日)でちょうど1カ月が経ちました。あらためて今の気持ちは?
市口 選ばれてすぐは実感がなかったんですけど、試合を見に来てくださるお客さんが「オリンピック頑張ってね!」と声を掛けてくださるので、どんどん実感がわいてきました。
──五輪を初めて意識したのは?
市口 小学校の卒業文集でオリンピック選手になりたいと書いたようです。当時オリンピックを見た記憶はないんですが、父親の影響で意識するようになったような……。バスケットボールも好きでやっていたんですが、オリンピック選手を目指してほしいと思って いた父親に、ソフトボールをするかバスケットボールをするか選択を迫られて……。ソフトボールは9人だから出られる可能性が高いかも、という感じで選んだ記憶があります(笑)。
──それがはっきりと目標になったのは?  2011年には世界ジュニア選手権のメンバーにも選ばれています。
市口 そのころはまだまだ。東京オリンピックでの復帰が決まってからだと思います。14年には世界選手権のメンバーにも選んでいただきましたが、とにかく先輩に付いていくのに必死でし た。試合に出ても、レベルの高い海外の選手と対戦できることが純粋に楽し くて、オリンピックを目指そうとかはあまり意識していなかったです。
──東京五輪での復帰が決まったときはどのような思いでしたか。
市口 もちろんソフトボールが復活するのはうれしかったですけど、自分のこととしてはまだとらえられていませんでした。とにかく目の前のことに必死でしたし、どうすればうまくなれるんだろうとか、そういったことばかり考えていました。
──それでも16年に、東京五輪に向けての強化が本格的にスタートしてからは、強化メンバーに選ばれ続けてきました。この5年を振り返ると?
市口 バッティングにしても守備にしても、すべてで成長できたと思ってい ます。バッティングは宇津木(麗華)監督に細かいことを指導していただき、山田(恵里、デンソー)さんをはじめ、 いろいろな選手を見て勉強してきたので、長打力も伸びたと思っています。(つづく)

【市口侑果PROFILE】
いちぐち・ゆか/1992年7月3日、 大阪府生まれ。163cm57kg。右投 左打。内野手。木更津総合高-ルネ サス・ビックカメラ高崎(2011年 ~)。堅実な守備とミート力のある打 撃を武器に1年目から出場機会を得 ると、同年の世界ジュニア選手権で 準優勝。13年からはトップ代表にも 定着し、14年から3大会連続で世界 選手権出場を果たす。今季リーグ成 績(5節終了時点):11試合、44打 席、12安打、2本塁打、3打点、4 盗塁、打撃率.256

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事