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2021-07-07

【ソフトボール】東京五輪ソフト代表の清原奈侑(1)「モリーナのショートバウンドを研究しました」

所属する日立では主将を務めている清原。グラウンド内外でチームを引っ張っている(写真/福地和男)

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五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

清原奈侑(日立/捕手)
元気や感動を伝えたい(1)

捕手が3人選ばれた東京五輪日本代表。宇津木麗華ヘッドコーチは後藤希友とバッテリーを組んだ試合を見て、清原の選出を決めたという。投手の良さを引き出すスタイルはどのようにつくられたのか。清原自身の捕手像について語ってもらった。(取材は5月5日、全文はソフトボール・マガジン8月号掲載)

高校、大学での学びが今のスタイルの礎に

──7勝4敗の同率2位で終えたリーグ前半戦の感想を聞かせてください。

清原 新人選手や移籍選手も多く入ってチームが真新しくなった中で、投手陣がしっかりと抑えてくれて、そこにうまく打線がつながったことがいい結果になったと考えています。ただ、4敗の中には勝てる試合もあったので、後半戦に入るまでにそこをチームの課題としてつぶしていきたいです。私自身は代表活動でチームを離れることも多かったんですけど、チームに戻ってから開幕までの間に、投手一人ひとりと濃い会話をすることが増えたので、それがバッテリーの呼吸につながった良かった点だと思います。バッティングに関してはチャンスであまり打てなかったので、そこが私の次の課題です。

──3年目の坂本実桜投手は防御率0.67(5節終了時点)と好調でした。

清原 坂本には、打たれることは気にしないで一番いいボールを投げ込んでほしいと伝えています。新人のころから物怖じしない性格ではあったんですけど、今年はピンチのときや仲間がエラーしたときにも「自分が抑えます」と言ったり、マウンドでの風格が出てきたのではないかと感じています。

──ケイラニ・リケッツ投手とのバッテリーはいかがですか。外国人投手と組む難しさはないですか。

清原 私がしたい配球とリケッツがしたい配球があり、それを互いに理解していないと試合中に「おかしい」となってしまう。そこを言葉が通じないからといっておざなりにするのではなくて、ピッチング練習などの中で、通訳を交えながらお互いが納得するまで話し合いを進めてやっています。カウント球、ストライクを取れる球が多いので、こういう使い方もできるんだと新たな気づきがあります。

──日立はこれまでも変化球投手が多かったように思いますが、それが清原選手の配球面の特徴などにつながっている部分はありますか。

清原 大学のころから変化球投手と組んでいたんですけど、速球派の投手に比べてスピードで打ち取ることはできないので、しっかりコースを突いて詰まらせることが大事。丁寧に投げさせるためのリードというのは、変化球投手と組む中で勉強になった部分だと思います。

──清原選手が自分のスタイルを確立させたのはいつごろでしたか。

清原 京都西山高に入ってから捕手を始めて、吉田茂樹先生からジェスチャーやフットワーク、構え方など、基本をすべて教えていただきました。それから園田学園女子大に進んだのですが、木田京子監督も京都西山高出身で、その後日立で捕手としてプレーされていました。高校が同じで捕手としての考え方も一緒だったので、高校では基礎、大学では応用と、一貫して学べたことはとても大きかったです。配球も、高校では吉田先生がすべてサインを出して、それをノートに書いて覚えるということをしていたのですが、大学では自分で全部考えるという指導だったので、高校、大学を通して私のスタイルがつくられたと思っています。

──捕手をするうえで、ほかの選手を参考にすることはありますか。

清原 プロ野球選手やメジャー・リーガーを参考にして、野村克也さん(元楽天監督ほか)の『野村ノート』を読んだり、ヤディアー・モリーナ(カージナルス)の映像を見てショートバウンドの捕り方を自分なりに研究してやってみたりしました。古田敦也さん(元ヤクルト監督)の映像も見ましたね。

──研究熱心ですね。

清原 自分が納得したものを学びたいという気持ちがあって「これをやりなさい」と言われたことをやるのがあまり得意ではないタイプなので、自分で研究することが多いかもしれません。
(つづく)


【PROFILE】
きよはら・なゆ/ 1991年5月1日、大阪府生まれ。165cm63kg。右投右打。捕手。京都西山高-園田学園女子大-日立(2014年~)。日立では1年目からマスクを被り、19年から主将を務める。15年にTAP-B代表となり、TAP-A代表を経て、17年度前期に初めてTOP代表強化指定選手となる。一度選考外となるも19年に再びTOP代表入りを果たした。今季リーグ成績(5節終了時点):11試合、34打席、9安打、0本塁打、3打点、0盗塁、打撃率.300

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