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2021-07-18

【陸上】頼ることが苦手だった寺田明日香が人に頼ることで見えた新しい世界【連載#3】

東京五輪女子100mH代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)

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陸上競技からの引退、結婚、出産、7人制ラグビーへの挑戦を経て、陸上界に復帰した女子100mハードルの寺田明日香選手。東京オリンピックでは日本女子短距離で57年ぶりのファイナルを目指しています。7月31日の女子100mハードル予選まで、陸上競技マガジンに掲載された寺田明日香選手の連載を毎日公開!
 
※このコラムは『陸上競技マガジン』2020年4月号に掲載されたものです。

頼れない先にあった自分ひとりの限界

 私は昔から、誰かに頼ることが苦手でした。

 頼ることが得意ではないので、弱い部分を見せることも、あまり良いことだとは思っていませんでした。

 なので、周りの人たちからは「明日香は自分で解決したがる(解決する)から放っておこう」と見られていたように思います。一方、私は私で、「自分のことくらい自分で解決しないといけない」と思っていて、それが当たり前でした。

 「助けてもらうなんて、申し訳ない」

 誰かに手を差し伸べてもらったときに、自分の弱さを見せるのが嫌だと思うと同時に、私のために時間を割いてもらうこと自体が申し訳なくて、大丈夫じゃないのに「大丈夫です」と言っていました。

 そんなことを続けているうちに、どうしたらいいのか本当に分からなくなってしまったとき、誰に何を相談したら良いのかも分からなくなっていました。自分ひとりで解決しようとすることに限界を感じた瞬間でした。

 その後、陸上競技からいったん離れることになるわけですが、陸上競技と関係ない生活をするなかで、多くの新しい出会いや経験をしました。

 私の陸上選手時代を知っている人とのお付き合いも、もちろんありましたが、選手をしていたこと自体を全く知らない人との出会いがあり、昔の成績を知っていても知らなくても、私を選手としてではなく、一人の人間=「寺田(佐藤)明日香」としてお付き合いをしてくれました。マネージャーをしてくれている夫も、そのうちの一人です。

 いつの間にか、私の心には少しゆとりができていて、「私はそのままの私でいいんだ」と、思えるようになっていました。

 そのような考え方をできるようになっていたことは、陸上競技に復帰する上で、大きな原動力になりました。

文◎寺田明日香 写真◎BBM

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