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2021-07-18

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所千秋楽の一番】白鵬、16回目の全勝で45回目の優勝

9年ぶりの千秋楽全勝決戦は、強烈なカチ上げ、張り手からがむしゃらに勝ちにいった白鵬が最後は照ノ富士を小手投げで這わせ、45回目の優勝を決めた

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白鵬(小手投げ)照ノ富士

すごい相撲だった。乱暴でめちゃくちゃだったけれども、すごい相撲だった。9年ぶりとなった千秋楽全勝決戦は白鵬が照ノ富士を力でねじ伏せ45回目の優勝。全勝優勝も16回目で、ともに自己記録を更新した。

制限時間いっぱいとなり、立った状態でにらみ合う両雄。10秒、20秒……、先に仕切りの体勢に入ったのは照ノ富士だった。遅れて白鵬。先に手をついたのも照ノ富士で、白鵬が遅れて手をつき立ち上がった。

白鵬は痛む右ヒザを軸に左足から踏み込み、左手を照ノ富士の顔の前にかざして、右から強烈なカチ上げ。エルボーを叩き込んだ。しかし、照ノ富士はひるまずに左で前廻しをつかむ。白鵬はそれを嫌って左に回り込みながら振りほどくと、左右から張り手を繰り出す。照ノ富士も張り手で応戦したが、スキができて白鵬に右を差されてしまう。白鵬は左上手を取り、相手に上手を与えない。照ノ富士が左を絞って前に出ると白鵬は上手投げ。上手が切れても小手投げを連発する。すっぽ抜けないように右手で左手首をつかんでロックしながらの小手投げ。ついに照ノ富士が前に落ちた。

勝った瞬間、こぶしを振り上げ、雄たけびを上げる白鵬。感情が爆発した。引退危機を乗り越え、つかんだ天皇賜盃。

「右ヒザがボロボロでいうことをきかなかったので、この一番にすべてを懸けて気合を入れてやりました。まさかこの歳で全勝優勝なんてできると思わなかったので、本当にホッとしています」と土俵下インタビューで答えた。

すべての表彰が終わって、報道陣のリモート取材に対応した白鵬は、「負けられないって気持ちが強かった。全部を出し切った。激しい中でも冷静さもあって、自分十分の四つに組みました。最後は力を振り絞って小手に振った」と取り口を振り返った。批判もあるだろうが、白鵬は持てる技術のすべてを出して、がむしゃらに勝ちにいった。胸が熱くなる一番だった。

白鵬も最初はこの場所を乗り切って東京オリンピックを現役で迎えられればと思っていたはずだが、勝ち進んでいくうちに欲が出てきた。最後になるであろう優勝のチャンスをなりふり構わずつかみにいった。

新横綱昇進が確実な照ノ富士について聞かれると、「14日間、土俵下で見て、本当に安定感があった。4年前の照ノ富士とは違ってね。また、ライバルが増えたね」と笑顔を見せた白鵬だが、今後この2人の対戦を見ることはないんだろうなと感傷的な気持ちになってしまった。

文=山口亜土

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