照ノ富士(極め倒し)明生残り4日となり、幕内の優勝争いは完全に白鵬と照ノ富士に絞られた。終盤は骨のある相手との対戦が組まれるが、ここまできたら全勝で千秋楽にぶつかってほしいものだ。
結び前に照ノ富士が土俵に上がり、同期生で新小結の明生と対戦した。幕内では3回顔が合って照ノ富士が全勝。初土俵直後の序ノ口、序二段でも当たって照ノ富士が勝っている。
立ち合いはともに手をついて待つタイプではなく、呼吸を合わせてサッと立ち上がった。当たってすぐに得意の左を差した明生。深く差して横から攻めたかったが、抱え込まれそうになり振りほどいて突っ張る。しかし、右を差してしまうとこれを抱え込まれて身動きが取れない。照ノ富士は右から相手の上体を起こしつつ寄り詰め、左から極め倒した。
全勝を守った照ノ富士は、「落ち着いて取れたのでよかったです」と第一声。初日からの12連勝は自己新記録になるが、「一日一番の気持ちでやっているだけで、特別な思いはないです。残り3日間、しっかり頑張りたいです」と淡々と語る。
明生は同期の照ノ富士をめちゃくちゃ意識しており、「照ノ富士関に勝つのが目標」とよく言っている。照ノ富士は、「土俵に上がったらみんな一緒と思ってやっているので特に……」と言いながらも、「顔が合えば、やってきたことを思い出すだけ。入門して年下(4歳下)だけど、教習所とか合宿で一緒に稽古してきたんで、上で戦えるのはいいことじゃないかな」と語っていた。
結びでは白鵬が関脇御嶽海と対戦。白鵬は立ち合いで張り差しにはいかず、すぐに右を差してきた。相手の動きを止めるとじっくりとチャンスをうかがい、左上手を取って万全の寄りで12連勝。
「1年前は左四つで負けましたから、今日は右四つで。考えて、考えての相撲です。12勝は目標だったので、とってもうれしい。ホッとしています」と白鵬は笑顔を見せる。今場所の目標は引退することなく乗り切ること。12勝を挙げれば、誰からも批判はされないだろう。目標を達成し、気持ちも楽に照ノ富士との決戦を見据える。
文=山口亜土