これまで日本代表では下位打線を打つことが多かったが、初戦となった7月21日のオーストラリア戦で三番に抜てきされた。その宇津木麗華ヘッドコーチの期待に応え、3回にはチームを勢いづける大会第1号の本塁打をマーク。内藤実穂は拳を突き上げ、満面の笑みでダイヤモンドを周った。

▲チェンジアップを中堅フェンス向こうへと運んだ内藤実穂(©WBSC)
教え子の雄姿をテレビで見守った佐賀女子高校・津上さおり監督は「初めてのオリンピックを楽しんでいる様子が伝わってきた」と話す。初回二死で回ってきた初打席では、突如制球を欠いた先発のカーヤ・パーナビーから落ち着いて四球を選んで出塁。一塁から山本優の中前打で先制のホームへ滑り込んだ。
高校時代はエースで四番。ルネサスエレクトロニクス高崎(現ビックカメラ高崎)には投手として入団したが、出場機会を求めて2年目に野手に転向。そこから努力を重ねて、強豪チームで一塁の定位置を勝ち取った。「教え子の中でも負けん気の強さは一番」と、津上監督も下を巻く。
小学4年生のときのアテネ五輪、中学2年生のときの北京五輪。そのときに抱いたオリンピックへのあこがれが、いつしか目標となり、努力を積み重ねたことで現実のものとなった。
メンバー選出直後の小誌インタビューで、「今度は私自身が影響を与えられるような選手になれるように頑張りたい」と語っていた内藤。拳を突き上げベースを回る内藤の姿は、子どもたちの目にどのように写っただろうか。