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2021-08-03

【TOKYO2020 ボクシング】田中亮明も快挙! 男子フライ級61年ぶりメダル確定

マークをかいくぐってボディブローを決めまくる田中

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  男子最後の砦、田中亮明(27歳=中京学院大中京高教)が決めた!──。3日、東京・両国国技館で行われた男子フライ級準々決勝で、リオデジャネイロ五輪ライトフライ級銀メダリストのユベルヘン・マルティネス(29歳=コロンビア)を4-1(29対28、29対28、29対28、28対29、29対28)のポイントで下し準決勝(5日)進出。メダル獲得を決めた。

文_本間 暁 写真_ゲッティ イメージズ Photos by Getty Images 

 これまで以上に苦しい戦いだった。初戦がリオ五輪フライ級銀メダリスト、ジョエル・フィノル(ベネズエラ)、2戦目は同銅メダリスト・胡建関(フー・ジャンガン=中国)、そしてこの日。3戦連続メダリストとの対戦となった田中だが、初回に連打を浴びての大きなビハインドは今大会初めてのこと。

コンパクトに右強打を決めてくるマルティネス。初回は苦しかった
コンパクトに右強打を決めてくるマルティネス。初回は苦しかった

 前2試合同様、“ストロング・スタイル”で徹底的に前進した。今大会で際立つ左ボディアッパー、左ストレートの強打で迫る。しかし、田中の左、特にボディブローはすでにマークされている。左アッパーに対し、右構えのマルティネスは右を合わせてくる。さらに、バランスを整えて、力みなくスムーズに放つ左右の連打。これが田中の顔面を捉える。一瞬棒立ちとなる姿も、これまでになかったもの。気持ちが空回りしかけ、打ってバランスを乱すシーンも見え、かなりのエネルギーを使って初回を取りに行ったスタミナ面を考慮しても、暗雲立ち込める初回となった。右目上のカットも気になった。

 4ー1と発表されたジャッジ。3ラウンドという短いラウンドで、初回を押さえたいのは誰もが考えること。ここでのビハインドは厳しい。しかし、多少の余裕を持ってフットワークを使い、リズムを変えたマルティネスに対し、田中のほうが、より熱く、そして冷静だった。

踏み込んで左ストレート。上下の打ち分けが多彩だ
踏み込んで左ストレート。上下の打ち分けが多彩だ

 強打を打ってもバランスを保つ。初回の修正をきっちりと行い、被弾していたマルティネスの右を先に打たせてそれを外し、左ボディアッパーを差し込む。ワンツーストレートを顔面に運び、さらに左ボディと攻める。左オーバーハンドも決めて、流れを引き戻してみせた。

 そして勝負の最終3ラウンド。ふたたび開始と同時に左ストレートを打ち込んでいった田中は、同じく右ボディアッパーで迎え打つマルティネスを、連打で下がらせる。打ってはウィービングで抜け出して、マルティネスのリターンをかわす。初回から飛ばしていた田中に比べ、マルティネスの疲労が目立つ。打ち続けてきたボディブローの効果もてきめんだった。心・技・体、まさに弟・恒成が「今大会はパーフェクト」と絶賛するとおりのボクシングで見事、逆転した。

歴史に名を刻む快挙を遂げた田中。しかし、まだまだ戦いは続く
歴史に名を刻む快挙を遂げた田中。しかし、まだまだ戦いは続く

 1960年ローマ五輪で田辺清が銅メダルを獲得して以来となるフライ級メダリストの誕生だ。しかし、まだまだ田中亮明のチャレンジは続く。準決勝は5日。相手は、前回金メダリストで優勝候補だったシャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)を負傷判定で破る大金星を飾ったカルロ・パーラム(23歳=フィリピン)。高速のテンポと強打で迫るサウスポー、ゾイロフにまったく気後れせず、左フックを合わせ続けたオーソドックス。フィリピン選手特有のバネもパワーもあり、準決勝を戦うにふさわしい相手だ。

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