東京・両国国技館で開催中の東京五輪ボクシング競技。29日夜、女子フライ級2回戦が行われ、日本期待の並木月海(22歳=自衛隊体育学校)がグラジエレ・ソウザ(30歳=ブラジル)に5-0(30対27、30対27、30対27、29対28、29対28)で勝利。準々決勝進出を決めた。 やはり身長で上回る同じサウスポーのソウザに対し、並木は初回、右へ右へとサークリングしながら、正拳突きのように出す右、若干軌道をフック気味に変えた右で飛び込んでいく。ソウザは並木の飛び込んでくるタイミングを計れずに、どうしても待ちのボクシングとなってしまう。体を密着させての連打も、回転力で勝る並木がリード。上々の立ち上がりを見せた。
2ラウンドに入り、右へ左へと動きに変化を加え、運動量も増した並木は、引き続き両腕を下げながらリラックスした状態をつくり、一気に飛び込む。ソウザは並木の右に左を合わせに来、かまわずに体をくっつけて連打を打とうとする並木の腕を絡め取る。レフェリーに再三ホールドの注意を受けたソウザだが、並木は引っ張られたり、押し倒されたりと、若干リズムを崩しかけた。
2回、接近戦で押し込まれてリズムを乱した。次戦以降はここで体力を奪われないようにしたい 最終3ラウンド、逆転を狙ったソウザがややプレスを強めてきたが、並木は一層速いフットワークを使い、接近戦では右ボディフック。さらには押し勝つことにも成功し、ソウザに連打を打ちづらくさせた。
互いにクリーンヒットの少ない戦いとなったが、ペース&ゲームメイクで並木が上回った印象だ。
メダル獲得を賭けた準々決勝の相手は、第4シードのイングリト・バレンシア・ビクトリア(31歳=コロンビア)。並木対ソウザの前の試合で、女子アマチュア界で長らくトップを走ってきた世界選手権6回優勝、ロンドン五輪銅メダリストのメアリー・コム(38歳=インド)を破ったサウスポーだ。コムとのフェイントの掛け合いに始まる技術戦を抜け出し、シャープな左ストレート、右フックで、追いすがるコムを突き放した。
速くて強く、伸びる左ストレートには特に要注意。並木には、入り際にいっそうの集中力、工夫が求められる。試合は8月1日午後5時から行われる。