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2021-09-10

【NFL】2021開幕戦 バッカニアーズがカウボーイズに逆転勝ち QBブレイディ淡々とお膳立て、外様軍団も活躍

バッカニアーズの逆転FGをお膳立てし、ファンの声援に答えるQBブレイディ=photo by Getty Images

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米プロフットボール・NFLは、9月9日(日本時間10日)、2021年シーズンが開幕した。フロリダ州タンパで行われた、タンパベイ・バッカニアーズ対ダラス・カウボーイズの開幕戦は、バッカニアーズが残り7秒からフィールドゴール(FG)を決めて逆転勝ちした。

タンパベイ・バッカニア―ズ○31-29●ダラス・カウボーイズ
(2021年9月9日、タンパ、レイモンド・ジェームス・スタジアム)


 スーパーボウル連覇を目指すバッカニアーズが、逆転で今季1勝目を飾った。バッカニアーズのKライアン・サカップの35ヤードFGが決まった時、ゲームクロックは残り2秒だった。

 そう書くと劇的な幕切れを連想するかもしれないが、全米の視聴者の大半は、驚きも興奮もなく、予定調和のように、試合の結末を見届けたのではないだろうか。なぜなら、逆転のFGをお膳立てしたのは、「GOAT」QBトム・ブレイディだったからだ。

 その数分前、カウボーイズのKグレッグ・ズーラインが48ヤードのFGを決めて29-28とした。しかし、ゲームクロックでは1分24秒、そしてタイムアウトは1回残っていた。差はわずか1点、逆転するにはFGで良かった。

 スーパーボウル7回優勝、誰よりも修羅場を潜り抜けてきた44歳の達人に、焦りやプレッシャーはなかったのではないか。

【バッカニアース vs カウボーイズ】冷静にオフェンスを率いたバッカニアーズのQBブレイデイ=photo by Getty Images

 ブレイディはいつものように淡々とパスを決め、前進した。ペイトリオッツ時代からのホットライン、TEロブ・グロンコウスキーに20ヤードのパスを決めて敵陣に入ると、残り24秒で、左サイドライン沿いのWRクリス・ゴドウィンに絶妙のバックショルダーパスを決めて、24ヤードをゲイン、エンドゾーンまで18ヤードとなった。ゴドウィンは、その前のオフェンスシリーズで、ゴール前で致命的なファンブルロストを犯していただけに、このパスは確実にキャッチした。

 ブレイディは時間を消費するため、3回パスを投げ捨てた。そしてサカップに引き継いだのだった。

 とはいえ、バッカニアーズは、本来なら、もつれることなく勝利を手中にできる試合だった。
 第3クオーターまでレッドゾーンに侵入したオフェンスシリーズは、すべてタッチダウン(TD)に結びつけていた。

 第4クオーター10分、この試合4度目のレッドゾーンで、ゴールまで残り13ヤードの地点。ブレイディからWRゴドウィンにスクリーンパスが決まった。TDを目前にしたゴドウィンにカウボーイズSダモンテ・ケイジーのタックルが入り、ファンブル。カウボーイズCBジョーダン・ルイスがリカバーして10ヤードリターンした。

 バッカニアーズは時間を使いながらTDを奪えばよい場面で、スクリーンパスも、TDを決めるためのパスではなかった。セカンドエフォートのゴドウィンが功を焦った感があった。

グロンコウスキーにブラウン 「外様軍団」が本領発揮

 この試合、バッカニアーズで活躍したレシーバーは、ブレイディが呼び寄せた「外様軍団」だった。TEグロンコウスキーは90ヤードで2TD。WRアントニオ・ブラウンは121ヤードで1TDを記録した。特にグロンコウスキーは、落球をしない。8回ターゲットになって8回レシーブとパーフェクトだった。ブラウンもブレイディが投じたこの日1番のリードボールのロングパスを見事な集中力でキャッチしTDとしていた。
【バッカニアース vs カウボーイズ】QBブレイディからのリードボールをキャッチするバッカニアーズのWRブラウン=photo by Getty Images
 二人とも、かってはプロボウルの常連。昨年は、グロンコウスキーは1年のブランクからの復帰だったし、ブラウンは2年のブランクに加えシーズン終盤からの合流だった。今季は、夏季キャンプをきっちりこなし、準備は万全だった。

 44歳のブレイディは、NFL史上2番目に高齢の先発QBとなったが、年齢による限界は、ほぼ感じられない。この日のパス成績は、32/50で379ヤード、4TD、2INT。インターセプトの内1本は、前半終了時のヘイルメアリーなので、あまり問題ではない。

 グロンコウスキー、ブラウン、そしてブレイディのコンビネーションは、今後もNFLを席巻することになりそうだ。

【バッカニアース vs カウボーイズ】TDを決めて、ボールをスパイクするバッカニアーズのTEグロンコウスキー=photo by Getty Images

QBプレスコット奮闘も、DTベアの圧力に苦しむ

 今春に大型契約を結んだ、カウボーイズのQBダック・プレスコットは奮闘した。パスは42/58で403ヤード、3TD、1INT。バッカニアーズはDLの4メンラッシュに加え、ブリッツも入れてきたが、プレスコットは良く対応した。ブレイディとの違いは、レッドゾーンに入ってからの決定力だろう。また、エースRBエジキール・エリオットのランから、全盛時の力強さが消えているのも気がかりだ。

【バッカニアース vs カウボーイズ】奮闘したカウボーイズQBプレスコット=photo by Getty Images

 カウボーイズで、惜しかったのは第4クオーター、ズーラインのFGでいったんは逆転したドライブだ。プレスコットからWRのC.D.ラムへパスが決まり一挙に敵陣へ攻め込んだかに見えたが、OLがホールディングのペナルティーを受けた。このドライブでは、もう一度OLのホールディングがあり、計20ヤードの罰退だった。

 バッカニアーズのDLのラッシュを支えきれなかったためだ。特にDTヴィタ・ベアのラッシュは強烈だった。ベアは193センチ157キロ。おそらく現在NFLで最もパワフルなDLだ。カウボーイズの得点をTDではなくFGにとどめた殊勲がベアだった。

 カウボーイズとしては、ベアの対面に入るはずだったLGザック・マーティンが、新型コロナウィルス感染症の陽性となったため、この試合に出場できなかったことが、終盤の大事な場面で響いた。

バッカニアーズDTベア=photo by Getty Images

NFL史上最高齢コンビ 2人で113歳

 中継局の米NBCによると、この試合でバッカニアーズのHC、ブルース・エイリアンズ(68歳11カ月)とトム・ブレイディ(44歳1カ月)は、NFL史上最高齢のHC&先発QBのコンビとなったという。

【小座野容斉】

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