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2021-09-13

【相撲編集部が選ぶ秋場所初日の一番】大関陣全滅も、新横綱照ノ富士が最後を締める

新横綱初日の取組で逸ノ城を右四つから寄り切り、土俵を締めた照ノ富士

照ノ富士(寄り切り)逸ノ城

番付発表後に新十両の北青鵬が新型コロナの陽性となり、のちに若い衆1人も陽性となったことで、宮城野部屋の全力士が出場停止となった。宮城野部屋の関取衆は白鵬、石浦、炎鵬、北青鵬の4人。白鵬の休場で、今場所一番の目玉だった新横綱の照ノ富士はいきなり1人横綱となってしまった。

現在はコロナ禍で巡業もなく、照ノ富士はお客さんを前にしての土俵入りの経験を積めず、初日がぶっつけ本番となったが、落ち着いて不知火型土俵入りを披露した。両ヒザのサポーターは外せず、「そこはご理解いただきたい」と照ノ富士。せり上がりのとき、徐々に上がっていくことができず、下段からすぐに上段になってしまったが、ヒザが厳しいのだろう。

この日は正代、貴景勝の両大関がともに黒星スタート。波乱ムードの中、土俵に上がった照ノ富士は逸ノ城と対戦。歴代横綱の誰もが緊張した新横綱初日も、照ノ富士は「特に緊張しなかった」と精神力の強さを見せつけた。

立ち合い、照ノ富士は左足から踏み込むとすぐに右を差し、左上手を取る。そのまま一気に前に出て、逸ノ城に何もさせず寄り切った。大関が相次いで敗れたあと、横綱の責任を果たし、初日の土俵を締めてみせた。

「よかったです。日ごろからやってきたことを信じて、やってきたことをやるだけ」と語る。横綱土俵入りについては、「思ったよりも雰囲気に慣れない感じだった」と満足していなかったが、これから回数を重ねていけば、さらにうまくできるだろう。

白鵬の休場で優勝候補の筆頭となり、両大関が敗れたことで、初日にして「優勝は照ノ富士で決まり」の声もある。「やっぱり責任を持って土俵に上がらなければいけないので頑張ります。精いっぱいやっていきたいと思う」と照ノ富士は気を引き締めていた。

実力的に一枚も二枚も上の照ノ富士が新横綱初日を白星で滑り出したことで、優勝争いの中心となっていくだろう。初日の相撲を見る限り、優勝経験がある御嶽海、大栄翔の相撲内容がよく、台風の目となるか。もちろん、大関陣の巻き返しにも期待している。

文=山口亜土

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