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2021-09-14

【ボクシング】「さらに自信は深まった」─挑戦者・矢吹正道、王者・寺地攻略に向け公開練習

時折放つ右ストレートが最大の武器

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 22日、京都市体育館で行われるWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦に向け、挑戦者1位・矢吹正道(29歳=緑)が14日、オンラインによる会見と公開練習を行った。

文_本間 暁 写真提供_緑ボクシングジム

「拳四朗選手のコンディションはあまり変わらないと思う」

 王者・寺地拳四朗(29歳=BMB)の新型コロナウイルス感染により、12日間の延期となった試合。思いのほか早くセッティングされた期日、最終段階における調整の軌道修正、体力面等、王者のコンディションを危惧する声も多いが、矢吹は元よりそこを頼るような男ではない。
「自分も試合直前にコンディションが最悪だったこともある。それよりもメンタルの部分が大きい。拳四朗選手のメンタルは最強だと思うから」。王者を最大限にリスペクトし、だからこそ“挑み甲斐がある”と言わんばかりなのである。

 12日間の延期により、「チケットの払い戻しへの対応」という“難題”も抱えるが、スパーリングは20ラウンドほど上積みでき、「より、自信を深めることができた」という。すでにスパーは打ち上げ、あとはマスボクシング等で調整していく。

 これまでのスパーは、世界3階級制覇の田中恒成(畑中)、IBF世界スーパーフライ級5位の石田匠(井岡)、日本フライ級11位・村上勝也(名古屋大橋)らと計80ラウンドほどを重ねた。田中からは「チャンピオンになってください。試合が終わったらご飯を奢らせてください」とエールを贈られたという。

決してパワーだけではない。パンチが目立ちすぎるが、技も多彩だ
決してパワーだけではない。パンチが目立ちすぎるが、技も多彩だ

「拳四朗選手の優れているところは下半身の強さ、それに支えられた距離感、左ジャブ」と、相手の長所をしっかりと刷り込んでおり、その上で、「左ジャブでも負けたくないし、それが叶わなくても、違う作戦をいくつも用意している」と自信のほどを語る。松尾敏郎会長は、「このクラスでのパワーが段違い。KO率(12勝11KO3敗)が凄い」と、愛弟子の破格の威力に全幅の信頼を寄せる。

 緑ジムはこれまで飯田覚士(WBA世界スーパーフライ級チャンピオン)、戸髙秀樹(WBAスーパーフライ級、WBAバンタム級暫定チャンピオン)と2人の世界王者を出しているが、「飯田は3度目、戸髙は2度目での獲得。矢吹は今回1発で獲ってくれるはず」と松尾会長。「勝って、相手陣営に『またもう1度、ベストコンディションでやりましょう』と言わせたい」と、“第2戦”すら匂わせた。

泰然自若。矢吹という男には、この言葉がぴったり
泰然自若。矢吹という男には、この言葉がぴったり

 矢吹も前日の寺地同様、シャドーボクシング2ラウンド、加藤博昭トレーナーを相手のミット打ち1ラウンドと、軽い練習を公開した。それでも、腕や前足での多彩なフェイントや、左構えへのスイッチなど、パワーだけではない技も披露。グッドファイトへの期待感を、さらに募らせた。

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