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2021-09-27

【NFL】タッカー、奇跡のNFL最長66ヤードFGでレイブンズが劇的勝利 ルーキーQBはサック乱れ打ちの洗礼…NFL第3週の結果

◇レイブンズ19-17ライオンズ◆ レイブンズのKタッカーが、NFL史上最長記録となる66ヤードのFGを決める=Photo by Getty Images

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米プロフットボールNFLは、現地9月26日(日本時間27日)、全米各地で第3週の14試合が開催された。レイブンズ対ライオンズ戦では、レイブンズのKジャスティン・タッカーが、NFL史上最長記録となる66ヤードのフィールドゴール(FG)を決めて、劇的な「逆転サヨナラ勝ち」。サンデーナイトゲームのパッカーズ対49ERS戦でも、パッカーズのKメイソン・クロスビーが、ラストプレーで51ヤードの逆転FGを決めた。
 今週で4人目のスターターが誕生した、ドラフト1巡指名QBは、全員が敗戦。初先発となったベアーズのジャスティン・フィールズは9サック、ジェッツのザック・ウィルソンは5サックとNFLディフェンスの厳しさを思い知らされた。ウィルソンと、ジャガーズのトレバー・ローレンスはまだ勝利を経験していない。
 NFLで2001年から先発しているQBトム・ブレイディ(バッカニアーズ)は、最多被サック記録を更新した。2004年からプレーしているベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ)も、直ぐ後を追っている。(写真はすべてGetty Images)

クロスバーの上でバウンド、選手たちは狂喜乱舞

◇レイブンズ19-17ライオンズ◆
 レイブンズのKジャスティン・タッカーが、ラストのワンプレーで、新記録66ヤードFGを決めて、劇的な「逆転サヨナラ」となった。ゴールポストに向かって真っすぐ飛んだボールは、クロスバーの上でバウンドして、その奥に落ちていった。奇跡のキックに、レイブンズの選手たちは狂喜乱舞し、ヒーローとなったタッカーを抱き上げて祝福した。
 「(FGというよりは)キックオフのキックに近かった。(ゴルフの)ドライバーコンテストのようなもの。とにかく真っすぐ飛んでくれることを祈った」とタッカーは試合後語った。
 これまでのNFL記録は、2013年12月8日のブロンコズ対タイタンズ戦でブロンコスのKマット・プレイター(現カーディナルス)が決めた64ヤードだった。
 皮肉にも、この日、プレイターは、カーディナルス対ジャガーズ戦で、68ヤードのFGを狙ったが、キックが届かず。ゴールポストの下で待ち構えていたジャガーズのジャマール・アグニューに109ヤードのリターンタッチダウン(TD)を決められていた。
レイブンズ19-17ライオンズ◆ レイブンズのKタッカーが、史上最長66ヤードのFGを決め選手たちに抱きあげられる=Photo by Getty Images
         ◇
1点差を追う、最後のオフェンス。レイブンズはタイムアウトなし、残り1分4秒で自陣25ヤードからだった。タッカーの存在を考えれば、可能性は残っていた。しかし、QBラマー・ジャクソンは、2度のQBサックで9ヤード後退。残り26秒、自陣84ヤード、4th&19という窮地に追い込まれた。

 クラウドノイズを発し続けるライオンズファンも、流石にこの時は勝利を疑わなかったのではないだろうか。

 ジャクソンは、WRサミー・ワトキンスに36ヤードのパスを決めた。ライオンズ陣48ヤードまでボールを進め、スパイクした。残り7秒、いったんタッカーらキックチームが入りかけて、またオフェンスチームが戻った。48ヤードではさすがのタッカーでも遠すぎるという判断だろうが、スパイクして止まる時間は40秒しかない。
 このドタバタで時間を使い、ジャクソンのタイムコントロールも甘かったため、センターがボールをスナップした時は、中継画面上は、完全に「ディレイ・オブ・ザ・ゲーム」となっているように見えた。しかし、審判はイエローフラッグは投げず、ジャクソンは次のプレーでパスを失敗。残り3秒、同じ地点からFGトライとなったのだった。

 現在のNFLで最高のKと評価されるタッカー。この日は第1Qに49ヤードのFGを外していたが、2016年以降、第4Qとオーバータイムでは49回連続でFG成功という実績は伊達ではなかった。
 そしてフォードフィールドのライオンズ戦もタッカーにとっては縁起の良い場所だった。前回、2013年12月16日の対戦では、タッカーが第4Q残り43秒で61ヤードのFGを決め、逆転勝利していた。この61ヤードが、タッカーにとってこれまでの自己最長だった。
 タッカーの快挙に隠れるが、レイブンズオフェンスは、この試合で42試合連続ラン100ヤード以上を達成した。これは1974~77年にスティーラーズが記録した43試合に次ぐという。

◇パッカーズ30-28 49ERS◆
 サンデーナイトゲームは、パッカーズが競り勝った。パッカーズは試合序盤からオフェンスが好調で、一時は17点をリードした。しかし、徐々に差を詰めた49ERSは第4Q7分にルーキーRBトレイサーモンのランTDで3点差に。
 パッカーズは、Kメイソン・クロスビーのFGで6点差とするが、49ERSは残り2分39秒からのオフェンスで、QBジミー・ガロポロがTEジョージ・キトルに2本のパスを決めてゴール前へ。仕上げはFBカイル・ユーズチェックへのパスを決めて、28-27と逆転した。
 残り時間は37秒で、タイムアウトなし。この状況下で、パッカーズのQBアーロン・ロジャースはWRデバンテ・アダムスに2本のパスを決めてボールを進めると、残り3秒でボールをスパイクして、クロスビーのFGをセットアップした。クロスビーは51ヤードの逆転FGを見事に決め、熱戦に終止符を打った。
◇パッカーズ30-28 49ERS◆勝利をセットアップしたパッカーズQBロジャース=Photo by Getty Images

◇チャージャーズ30-24チーフス◆
チーフスが試合序盤で、3連続ターンオーバーというミスを犯し、うち2回のチャンスをチャージャーズのQBジャスティン・ハーバードがパスでTDに結びつけた。チーフスも、QBパトリック・マホームズのTDパスでいったんは逆転。しかし、チャージャーズが第4Qの3回のオフェンスで2TD1FGとすべて得点し、逃げ切った。マホームズはこの試合2インターセプトを喫した。2年連続スーパーボウル出場、AFC最強と見られているチーフスが連敗、黒星先行となった。
 なお、チーフスのアンディ―・リードヘッドコーチ(HC)が、「気分が悪くなった」として、大事を取って救急車で搬送された。チーフス球団によると、現在はカンザス大学の医療施設にいるが、搬送は予防的な措置で、リードHCは安定した状態だという。
◇チャージャーズ30-24チーフス◆チーフスWRヒルがパスを捕球できず=Photo by Getty Images

◇レイダース31-28ドルフィンズ◆
レイダーズは、QBデレク・カーが、第1QにインターセプトリターンTDを喫すると、次のドルフィンズのオフェンスでもTDを奪われた。しかし、カーの2本のTDパスで逆転すると、RBペイトン・バーバーのTDランで、突き放した。ドルフィンズはQBジャコビー・ブリセットのランTDと2ポイントコンバージョン成功で同点として試合はオーバータイムにもつれ込んだ。両チームが共に1本ずつFGを決めた後、レイダーズはRBバーバーのロングゲインで攻め込むと、オーバータイムで2本目のFG、勝負を決めた。
 レイダースは前シーズンに10勝以上したチームと、シーズン最初の3試合で戦って3勝したNFL史上初のチームとなった。開幕3連勝は、2002年以来だが、このシーズンはスーパーボウルまで進出している。
◇レイダース31-28ドルフィンズ◆ 試合中に笑顔を見せるレイダースのグルーデンHC=Photo by Getty Images

◇ラムズ34-24バッカニアーズ◆
 開幕連勝チーム同士の対戦は、ラムズがオフェンスの決定力で上回った。前半14-7とラムズリードで折り返した後半最初のドライブで、QBマシュー・スタフォードが、ワイドオープンのWRデショーン・ジャクソンに75ヤードのTDパスをヒット。リードを14点差とした。バッカニアーズも、QBトム・ブレイディのTDランで反撃したが、直後のドライブで、スタフォードがWRクーパー・カップにこの日2本目のTDパスを決めて突き放した。
 スタフォードはパス343ヤード4TD。決定力を求めての大型トレードだったが、ここまではショーン・マクベイHCの期待通りの活躍を見せている。
 パス432ヤード1TDのブレイディはこの試合で3サックされ、NFL最多被サック(527)記録の持ち主となった。従来の記録はブレット・ファーブ(元パッカーズなど)の525だった。最多被サックでは、スティーラーズのロスリスバーガーも524でブレイディに迫っている。
◇ラムズ34-24バッカニアーズ◆ 試合中、笑顔で握手を交わすラムズのマクベイHCとQBスタフォード=Photo by Getty Images

◇ベンガルズ24-10スティーラーズ◆
2年目QBジョー・バロウとルーキーWRジャマール・チェイスのホットラインが開通し2TDパス、ベンガルズが快勝した。2人はルイジアナ州立大が全米優勝した時のチームメート。OLBのTJワットらディフェンスの主力を負傷で欠いたスティーラーズは、連続試合サックが75で途絶えた。逆にベン・ロスリスバーガーが4サックされ、2INTの乱調。昨シーズンは15試合で13回だった被サックが3試合で8回と大幅に増えている。
◇ベンガルズ24-10スティーラーズ◆QBバロウからのTDパスをキャッチするWRチェイス=Photo by Getty Images

◇セインツ28-13ペイトリオッツ◆
ペイトリオッツは、スタートから、3ドライブ連続で3&アウト、4回目はパントブロック、5回目はインターセプトと散々な出来だった。対するセインツはQBジェイミース・ウィンストンが2本のTDを決めた。さらに後半開始直後、ペイトリオッツQBマック・ジョーンズからインターセプトリターンTDを奪って、3ポゼッション差とした。セインツQBウィンストンはパス128ヤードで勝利。ペイトリオッツは、第2Qの早い段階で、RBジェームズ・ホワイトが負傷退場、ランオフェンスの中核を欠いたのも痛かった。
◇セインツ28-13ペイトリオッツ◆セインツのRBカマラ=Photo by Getty Images

◇ブロンコス26-0ジェッツ◆
ブロンコスが開幕3連勝と好調をキープ。ルーキーRBジャボンテ・ウィリアムズのランTDで先制、第2Qにはもう一人のRBメルビン・ゴードンがTDを決めた。Kブランドン・マクマナスは45ヤード以上2本を含む4本のFGを成功させた。無得点のジェッツは、開幕3連敗。9月のゲームは12連敗中。2INTのルーキーQBザック・ウィルソンは3試合で被サック15。このままのペースならNFLのシーズン最多被サック記録を更新する。
◇ブロンコス26-0ジェッツ◆インターセプトを決めて、カメラに向けてポーズするブロンコスの守備陣=Photo by Getty Images

◇ブラウンズ26-6ベアーズ◆
 今春ドラフト1巡指名QBの中で4番目のスターターとなった、ベアーズのジャスティン・フィールズ。しかし、プロの洗礼は半端ではなかった。ブラウンズは、DEマイルズ・ギャレットの4.5回を筆頭に9回のサックをルーキーQBに見舞った。フィールズはパス6/20で68ヤードだったが、サックされロスした距離をマイナスされ、チームパス記録は1ヤードとなった。
◇ブラウンズ26-6ベアーズ◆ サックされるQBフィールズ=Photo by Getty Images

◇カーディナルス31-19ジャガーズ◆
ジャガーズが開幕3連敗。アーバン・マイヤーHC、QBトレバー・ローレンスは、なかなかNFLでの初白星にたどり着けない。アグニューの109ヤードリターンTDなどで一時はリードしたが、ローレンスが第3Q14分に、カーディナルスCBバイロン・マーフィーに手痛いインターセプトリターンTDを喫すると、第4Qにも追加点を奪われた。カーディナルスは2015年以来の開幕3連勝。QBカイラー・マレイは、3試合でパス1002ヤード、成功率76.5%と好調。大型補強したWRのAJグリーンは移籍後初の100ヤード超えゲームとなった。◇カーディナルス31-19ジャガーズ◆ NFLでの初勝利が遠い、マイヤーHC(中央)とQBローレンス(左)=Photo by Getty Images

◇ビルズ43-21ワシントン◆
ビルズが、QBジョシュ・アレンがパス4TD,ラン1TDの5TDを挙げる活躍で快勝した。アレンは試合開始5分足らずで、WRエマニュエル・サンダースにTDパスを決めて先制すると、第2Qにも、ターンオーバーから得たオフェンスで2TDパスを決めた。ビルズオフェンスはサードダウンコンバージョンでも9/15と好調で、ファーストダウンを29回更新した。ワシントンは、自慢の強力ディフェンスが不発。ビルズの44回のパスプレーで1サックも奪えなかった。

◇ファルコンズ17-14ジャイアンツ◆
連敗スタートの2チームの競り合いは、ファルコンズが勝利した。ジャイアンツは、前半に2回のロングドライブでゴールに迫ったが、TDを取り切れず、Kグラハム・ガノの2FGで6点に終わったのが響いた。ファルコンズは、前週のバッカニアーズ戦で3INTを喫したQBマット・ライアンがパス成功率75%、2TDで0INTと堅実なパフォーマンスを見せた。ジャイアンツの開幕3連敗は、直近5シーズンで3回目。

◇タイタンズ25-16コルツ◆
コルツは負傷で出場が危ぶまれたQBカーソン・ウェンツが先発したが、パスTDを奪えず。一方のタイタンズは、QBライアン・タネヒルが2INTを喫しながら3TDパスを決めた。コルツは開幕3連敗。コルツ守備は、2018年以降、1人のRBに1試合100ヤード以上走られたことが4回しかないが、その4回がいずれもタイタンズのRBデリック・ヘンリー。ヘンリーがレシーブも含め、24回以上ボールを持った時のタイタンズは20戦全勝という。

◇バイキングス30-17シーホークス◆
2012年ドラフトの同期生、バイキングスのQBカーク・カズンズと、シーホークスのQBラッセル・ウィルソンの対決は、カズンズに軍配が上がった。カズンズはこの試合で、通算18回目となる、パス300ヤード以上、パスTD3本以上、パサーレーティング115以上を記録したが、デビュー10年での記録としては、アーロン・ロジャース(19回)だけが上回っている。ウィルソンは、プレーオフも含めバイキングス戦8試合目で初黒星となった。

【小座野容斉】

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