米プロフットボール・NFLは現地11月1日(日本時間2日)に、ミズーリ州カンザスシティで第8週のマンデーナイトゲーム、カンザスシティ・チーフス対ニューヨーク・ジャイアンツの一戦があり、チーフスが試合残り1分で決勝のフィールドゴール(FG)を決めて、ジャイアンツに辛勝した。チーフスは、4勝4敗、ジャイアンツは2勝6敗となった。(写真はすべて Getty Images )
カンザスシティ・チーフス○20-17●ニューヨーク・ジャイアンツ(2021年11月1日、アローヘッド スタジアム)【得点経過】
チーフス 第1Q 残り6:12 WRタイリーク・ヒル6ヤードTDパス←QBパトリック・マホームズ (キック成功)
4プレー13ヤード1:25 [0-7]
ジャイアンツ 第2Q 残り14:14 WRカイル・ルドルフ1ヤードTDパス←QBダニエル・ジョーンズ (キック成功)
9プレー85ヤード4:02 [7-7]
チーフス 第2Q 残り6:37 RBデリック・ゴア3ヤードTDラン(キック成功)
11プレー68ヤード5:46 [7-14]
ジャイアンツ 第2Q 残り2:45 Kグラハム・ガノ23ヤードFG
8プレー86ヤード3:52 [10-14]
ジャイアンツ 第4Q 残り14:53 TEエバン・イングラム5ヤードTDパス←QBジョーンズ(キック成功)
8プレー57ヤード3:34 [17-14]
チーフス 第4Q 残り8:53 Kハリソン・バトカー36ヤードFG
14プレー57ヤード6:00 [17-17]
チーフス 第4Q 残り1:07 Kバトカー34ヤードFG
9プレー55ヤード3:34 [17-20]
4メンラッシュのジャイアンツ「閉じ込め」作戦にてこずる 2年連続のスーパーボウル出場、チーフスが苦しんでいる。ジャイアンツのファンには申し訳ないが、今のジャイアンツは強くはない。そのジャイアンツと接戦となり、残り1分7秒でKバトカーのFGで辛うじて勝った。
苦戦の原因の一つは、喪失ヤードがNFL29位、失点25位というディフェンスなのは、言うまでもない。だが、ディフェンスが弱いのはシーズン開始前からある程度は織り込み済みだったこと。
ここ1カ月ほどの苦戦の原因はオフェンスの不振が大きい。開幕から4試合は平均33.5点を記録していたが、第5週以降の4試合は平均18.5点。QBパトリック・マホームズを中心にした、WRタイリーク・ヒル、TEトラビス・ケルシーという、NFL最強ともいえるパスユニットが機能しなくなっているのだ。
カウボーイズに44失点、ラムズに38失点した、リーグ下位のジャイアンツディフェンス相手に、チーフスはてこずった。第1Q最初のオフェンスシリーズでは、QBマホームズがエンドゾーンでインターセプトを許したし、第3Qには、敵陣まで攻め込みながら、名手ケルシーがファンブルロストした。第4Qの2度のレッドゾーンでもTDを取り切れずにFGに終わった。
ジャイアンツディフェンスは、この試合を通じてほぼ4人でパスラッシュをしていた。ブリッツをほとんど入れないか、入れる場合でもDLを3人に減らしていた。そしてマホームズにダイレクトなプレッシャーをかけるのではなく、チーフスのポケット全体を絞り込むように守った。
マホームズはこの試合の被サックは2回、前半はゼロだった。その代わり、ポケットに閉じ込められ、強肩を生かすプレーがほとんどなかった。パスラッシュをかわし、動きながら強く長いパスを投げる得意な動きができなかった。ワイドオープンのケルシーを見落とす場面もあった。第4Qには、2本目のインターセプトとなるところをジャイアンツの反則によって助けられた。
ジャイアンツは、前に人を配さない代わりに、プリベントディフェンスのように、ミドルからディープを7人でしっかり守っていた。さらにWRヒルをタイトにカバーして自由にさせなかった。ケルシーに対しても、人員を割いて守っていた。ケルシーのファンブルは複数の選手がタックルする中で起きた。
チーフスの最も長かったパスは29ヤード。20ヤード以上のパスは2本しか決まらなかった。ケルシーのパスレシーブ計27ヤードは、7回以上ターゲットとなった試合の中では、キャリアの中で2番目に悪い数字だった。マホームズは7試合連続でインターセプトと、ワースト記録を更新中だ。
打開策の一つはやはりランプレーだ。RBクライド・エドワーズヒレアーがインジュアリーリスト入りしたのが、今のオフェンスの不振につながったこともある。
この試合では、2人のRB、ダミアン・ウィリアムズとデリック・ゴアのランが第2、3Qにはよく出ていた。インサイドのランブロックが良かったからだ。また、チーフスオフェンスの特徴は、ほぼ全プレーに繰り込まれているプレスナップモーションだが、WRミコール・ハードマンのモーションスィープで大きなゲインを得る場面もあった。記録上はパスだが実質的なランプレーだ。
自身が天才肌のRBだったエリック・ビエナミーオフェンスコーディネーターの手腕の見せ所となる。
チーフスのこの試合の課題は、もう一つある。反則の多さだ。12回で103ヤードの罰退は、とうてい許容できるものではない。
問題が積み重なるなか、来週からパッカーズ、レイダース、カウボーイズとの3連戦が待っている。3チームとも地区首位で、特にオフェンスが好調だ。今日のような試合をしていては勝つのは難しい。名将アンディ・リードヘッドコーチはどのように打開するのだろうか。