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2021-11-04

【ボクシング】坪井智也、岡澤セオンともに勝つ。史上初、アマ世界選手権で2人が決勝へ

坪井(左)は常に先手を取って戦いに臨み、4-1勝利につなげた

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セルビアのベオグラードで開催されているAIBA世界ボクシング選手権は4日、準決勝が行われ、バンタム級(54キロ級)の坪井智也(自衛隊体育学校)、ウェルター級(67キロ級)の岡澤セオン(INSPA)ともに4-1の判定で難敵を攻略し、決勝進出を決めた。世界選手権の同じ大会で2選手がファイナリストになるのは史上初めて。また、2011年に村田諒太(東洋大学職員=当時)にミドル級で銀メダルを取ったのが最高の成績で、これまでに金メダリストは1人もいない。

 坪井は厳しいペース争いから、微妙な判定を奪い取る。攻撃的な姿勢を最後まで崩さず、これが評価された。対戦者のビジャル・ベナマ(フランス)は身長175センチ。長いリーチを利してワンツー、左フックを狙ってくる。坪井は前後、左右に大きく動きながら、ボディへの左ストレートをヒットし、さらに前に出て左右を振るう。クリーンヒットにはそれほど差はなかったように見えたが、この初回、3人のジャッジからポイントを与えられたことが試合の流れを決めた。

 攻めにはやりながらも、思い切りの悪いベナマに、2ラウンドはワンツーをヒットする。3ラウンド、ベナマもだんだんと勢いが落ち、坪井の元気の良さばかりが光った。

 ベナマはヨーロッパ予選を1位で通過して東京五輪で戦った。その決勝では金メダリストのガラル・ヤファイ(イギリス)にも快勝している。坪井はリオ五輪の覇者シャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)戦の勝利に続く大きな殊勲だった。
強敵を撃破した岡澤は、思うわず大きな雄たけび
強敵を撃破した岡澤は、思うわず大きな雄たけび


 岡澤の対戦者も強かった。アブライハン・ズスポフ(カザフスタン)は同じサウスポーでさらに長身。しかも、その攻撃は力感あふれる。その相手に岡澤は自慢のアウトボクシングで立ち向かう。

 一瞬のよどみもなく、よく動き、ズスポフに的を絞らせなかった。そして、パンチの交換がないところで、ボディへの右ジャブを立て続けにヒットする。これが印象面でも実際の効果でも大きかった。ズスポフの攻めは一歩一歩遅れて、岡澤は楽々とかわしていく。

 2ラウンドはカザフスタン人が勢いを増して岡澤を追い回し、やや分が悪かったが、3ラウンドにペースを取り戻す。きっかけはやはりボディに送り込む右のジャブ。ズスポフの攻勢は見る見るうちに減速し、このラウンドを支配した。

 決勝では、坪井はマフムド・サビルハン(カザフスタン)、岡澤はオマリ・ジョーンズ(アメリカ)と対戦する。サビルハンはサウスポーがベースながら、スイッチもこなし、的確で力感のあるパンチと端正な技巧を併せ持つ。坪井は動き負けせず、先手を取って攻め崩したい。18歳のジョーンズは高い潜在能力を感じさせるが、まだまだ粗削りでスタミナにも不安がある。岡澤がベストの状態なら、金メダルはかなり有望と思える。

写真◎ゲッティ イメージズ

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