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2021-11-06

【ボクシング】快挙!  坪井智也、岡澤セオンとも優勝─AIBA世界ボクシング選手権

鋭い左ジャブを打ち込む坪井(左)。素晴らしい試合運びだった

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 AIBA世界ボクシング選手権大会(セルビア・ベオグラード)は5日、7階級で決勝が行われ、バンタム級(54キロ級)の坪井智也(自衛隊体育学校)、ウェルター級(67キロ級)の岡澤セオン(INSPA)ともに判定で勝利を収め、見事に優勝を決めた。この大会で日本選手がトップに輝くのは史上初めて。しかも、一気に2人の世界チャンピオンを誕生させる快挙となった。

 坪井の落ちつきはらったパフォーマンスが、一歩も二歩も上回った。スイッチヒッターのマフムド・アビルカン(カザフスタン)が左構えに構えるときは右ストレート、さらにこそぎ取るような左フック。オーソドックスで来たときは左ジャブを正確にヒットする。

 初回こそ、プレスをかけ続けてくるカザフスタン人が3人のジャッジの心証をつかんだが、2ラウンドからは坪井がほぼ一方的に戦いを支配する。右ストレートがさらに光る。ボディへの左フックも効果的だ。上下への打ち分けもきれいに決まった。流れを変えたいアビルカンは3ラウンドになるとラフなアタックを敢行。坪井は何度も押し倒されたが、冷静さを失うことなく、きれいな右を再三にわたって好打する。このラウンドも順当にポイントを奪い、5-0の判定勝利を勝ち取った。

 リオ五輪金メダルのシャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)、ヨーロッパの雄、ビジャル・ベナマ(フランス)と世界の上位にランクされる強豪を連破してきた坪井は、決勝戦で、これらの番狂わせをさらに上回る安定感を見せつけた。素晴らしい勝利だった。
岡澤(右)は若いジョーンズの長い距離に苦しみながらも僅差判定で優勝にたどり着いた
岡澤(右)は若いジョーンズの長い距離に苦しみながらも僅差判定で優勝にたどり着いた

 2階級の表彰式が終わった後に登場した岡澤はきわめて難しい戦いを強いられる。19歳のオマリ・ジョーンズ(アメリカ)は190センチ近い長身。クイックなステップから正確なヒットでポイントを稼ぐサウスポーの岡沢だが、容易に近づけない。初回から採点が割れる。岡澤の動きと守りのテクニックを買ったジャッジが3人とわずかに攻勢をアピールしたジョーンズに2人。結果的にはこのジャッジメントが大きかった。

 2ラウンドはジョーンズの長いパンチがリードを奪い。勝敗は3ランドに委ねられる。この最後の3分の読み取りがまた難しかった。岡澤は相変わらず距離をとり、カウンターを狙うが、パンチはいずれも軽打。ジョーンズは勝負にはやって、右の強打を単発的に打ち込むが届かない。ポイントはまたしても微妙だったが、3ラウンドの総計は3-2できわどく岡澤の手が挙がった。

 東京五輪では、キューバのレジェンド、ロニエル・イグレシアスの駆け引きに、ボクシングが乱れて敗退した岡澤だが、今回は自分のボクシングスタイルを信じ切ったことが快挙につながった。

写真◎ゲッティ イメージズ

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