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2021-11-28

【ボクシング】フルタイムの殴り合い。フルトンがフィゲロアを破り、2冠チャンピオンに

クロスレンジでの打撃戦にあえて応じたフルトン(左)は厳しい戦いを制した

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 WBC・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦、WBCチャンピオンのブランドン・フィゲロア(27歳=アメリカ)対WBOのスティーブン・フルトン(24歳=アメリカ)の12回戦は27日(日本時間28日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのパークシアターで行われ、フルトンが2-0の判定で勝ち、2つのベルトを奪取した。なお、試合前まで、フィゲロアはWBAのチャンピオンでもあったが、リングに上がった時点で同タイトルは剥奪されており、2冠のみの統一戦となった。

 対戦相手の土俵に立って戦う。実力が拮抗していた場合、危険な作戦ではある。ただ、中途半端に戦って、相手のペースに乗っかってしまうより、最初から覚悟を決めている分だけ、気分的には楽なのかもしれない。フルトンは、ゴリゴリと前に出て乱戦の中でペースを拾うフィゲロアに対し、戦いの90%までをクロスレンジで戦った。万能型技巧派として評価の高いフルトンとしては、どういう展開でも勝てると踏み、あえて兵員総動員可能な敵陣の中での戦いに挑んだのだろうか。

 戦いはとことんまで激しい打ち合いが続いた。スイッチヒッターのフィゲロアがサウスポーで戦ったこともあり、フルトンは鋭い右、接近すれば右のアッパーカットを突き上げ、ショートの左フックを返した。しかし、フィゲロアのタフネスと闘志は計算以上だったに違いない。ボディブローを交え、しぶとく食い下がってくる。フルトンはコントロールしきれない。序盤からずっと点取り合戦が続くことになる。

 フィゲロアの突進に、ロープを背にしながらも巧みにショートパンチでやり返していたフルトンも、6ラウンドにはフィゲロアの力強いボディブローを何発も打ち込まれて、動きが止まる場面も。その後は対戦者のわずかなスキを突いて、ショートパンチを数多く集めたフルトンが微差を抑えるラウンドが続いた。

 10ラウンドはフィゲロアが左ストレートをきっかけに集中打を見せて、勝負の行方はまだわからない。だが、余力があったのはフルトンだった。11、12ラウンドと、フルトンはわずかに間合いを取ってコンビネーションを集め、決定的なポイント奪い、そのまま逃げ切った。
勝利を手にしたフルトンは4団体統一に強い意欲を持っている
勝利を手にしたフルトンは4団体統一に強い意欲を持っている

 採点は116対112と2者がフルトン。残る1人は114対114だった。

 試合後、勝利者インタビューを受けるフルトンにフィゲロアが詰め寄り、「勝ったのは俺だ」と激しい言い合いに。売り言葉に買い言葉で、「じゃ、再戦だ」となったが、その後のフィゲロアは「フェザー級に上げるかもしれない」とすぐにトーンダウンしていた。メキシコ系のフィゲロアは身長が173センチもあり、以前から減量苦が伝えられている。

 フルトンは20戦全勝(8KO)。WBA・IBFチャンピオンのムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との4団体統一戦に意欲を見せている。フィゲロアは24戦22勝(17KO)1敗1分。

※WBAはスーパーチャンピオンにアフマダリエフ、レギュラーチャンピオンにフィゲロアを認定していて、フィゲロアが王座決定戦に臨んだ時点で、上位王者としていたアフマダリエフを唯一の王者として認定したもの。

文◎宮崎正博(WOWOW観戦) 写真◎ゲッティ イメージズ

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