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2021-07-18

【ボクシング】チャーロとカスターニョ、熱戦の結末は引き分け。4団体統一王者は決まらず

カスターニョ(右)の左フックがチャーロを襲う(Leo Wilson Jr./Premier Boxing Champions)

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 WBAスーパー・WBC・IBF王者のジャーメル・チャーロ(アメリカ)とWBO王者ブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)によるスーパーウェルター級の主要世界4団体統一戦12回戦が17日(日本時間18日)、テキサス州サンアントニオで行われたが、1対1の引き分けで階級史上初の4団体統一王者誕生は、おあずけとなった。採点はジャッジ1者が114対113でカスターニョを支持。もう1者が114対114。残る一者は、117対111でチャーロにつけた。

ハイレベルでスリリングな12ラウンド

 1人のジャッジの不可解きわまりない採点に批判が集まったものの、試合自体は誰もが認める好ファイト。直近3連続KO勝利で勢いづく3団体王者チャーロと、アマチュア経験豊富な技巧派ファイター、カスターニョの戦いは、名実とも階級最強決定戦にふさわしい、スリリングでハイレベルなフルラウンドだった。

 双子の世界王者として知られるチャーロ・ブラザーズの地元テキサスで行われた4団体統一戦。「われわれ兄弟の価値を世界に知らしめる、これ以上ない機会だ」という弟ジャーメル有利の予想は傾いていた。地元の利に加え、体格差とパンチングパワーがものを言うと思われたのだ。

 しかし、先手をとったのは短躯のアルゼンチン人カスターニョである。プレスをかけてチャーロを誘い出し、高速のカウンターで緊迫の攻防に持ち込んだ。2回には攻め入るところにチャーロの左フックを浴びてピンチを味わったが、3回からは相手の苦手な近距離で巧みにコンビネーションをつなぎ、7回にはボディも効かせた。

 ところが、アルゼンチン人優位のままでは終わらない。トレーナーのデリック・ジェームスから劣勢を知らされたチャーロが追い上げる。10回、ジャブの数を増やし、ついに右ストレートをクリーンヒット。劇的な逆転KOを期待する地元ファンの大歓声が沸く。だが、ここでもカスターニョは冷静だった。おぼつかない足元を懸命に立て直し、左右に動いてこのラウンドを乗り切ると、終盤2回はもう下がらなかった。ビッグパンチを狙うチャーロに対し、カスターニョがインサイドに斬り込み続けて、試合は終了を迎えた。

両陣営とも再戦に前向き

 ドローの裁定により、チャーロの戦績は36戦34勝(18KO)1敗1分となった。この階級を先に卒業し、世界2階級制覇を果たしている現WBC世界ミドル級王者、兄ジャモールとともに、落胆を隠せなかった。が、試合後の会見では、「帰って試合映像を見直さなければならないが、117対111という採点は、差がありすぎるかもしれない」と率直に話し、再戦にも応じる姿勢をみせた。それを知ったカスターニョは、「ありがたい。チャーロは再戦を恐れない。判定は盗まれたが、タフな試合だったのは間違いない。でも、私が求める3本のベルトを彼が持っている限り、戦わなければならない」と語った。戦績は19戦17勝(12KO)2分。放映局ショータイムは試合直後、ツイッターの一般投票で73%がカスターニョの勝利を支持したと報じている。

 1970年代、“炎の男”輪島功一がWBA・WBC世界王者として君臨したこのスーパーウェルター級は、この数年、群雄割拠で盛況だ。各団体のチャンピオンには、ランキング最上位の挑戦者との指名試合をこなす義務があるが、ファンが知りたいのは、階級最強は誰か、に違いない。チャーロとカスターニョの“決着戦”が待たれる。

 ボクシングの世界王座認定が主要4団体になった1988年以降、4団体王座統一に成功した男子チャンピオンは、ライト級のテオフィモ・ロペス(アメリカ)、スーパーライト級のテレンス・クロフォード(アメリカ)、ジョシュ・テイラー(イギリス)、ミドル級のバーナード・ホプキンス(アメリカ)、同じくジャーメイン・テイラー(アメリカ)、クルーザー級のオレクサンダー・ウシク(ウシク)の目下6人。
文◎宮田有理子 Text by Yuriko Miyata

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