米カレッジフットボールは今季第14週の12月3、4日(日本時間4、5日)、各カンファレンスの優勝決定戦が行われた。(写真はすべてGetty Images)
カレッジ最強カンファレンスとして注目を集めるサウス・イースタン・カンファレンス(SEC)では、アラバマ大学が12戦全勝のジョージア大学を破って2年連続優勝した。アラバマ大はこの10年間で7回目のSEC王者となった。米東部から中部にかけてをテリトリーとして、高い人気と注目度を誇るBIG10カンファレンスでは、ミシガン大学がアイオワ大学に圧勝して17年ぶりのBIG10王者となった。またアメリカン・アスレチック・カンファレンス(AAC)では、シンシナティ大学がヒューストン大学を撃破して、優勝するとともに全勝を守った。
第14週の結果を受けて新たなランキングが決まり、全米王座を決めるカレッジ・フットボール・プレーオフ(CFP)に進出する4チームは、1位アラバマ大(12勝1敗、SEC優勝)、2位ミシガン大(12勝1敗、BIG10優勝)、3位ジョージア大(12勝1敗、SEC2位)、4位シンシナティ大(13勝、AAC優勝)となった。
現行のCFP制度が始まってから、いわゆる「パワー5カンファレンス」と、独立校の強豪ノートルダム大学以外から、全米4強に進出したのはシンシナティ大が初めて。
CFPの組み合わせは次の通り。
・コットンボウル(現地12月31日、AT&Tスタジアム)
アラバマ大(1位) vs シンシナティ大(4位)
・オレンジボウル(現地12月31日、ハードロックスタジアム)
ジョージア大(3位) vs ミシガン大(2位)
勝者が、1月10日の全米王座決定戦で対戦する。
第14週の全米各地のカンファレンス優勝戦の結果は次の通り。
【パワー5】 SECチャンピオンシップアラバマ大学クリムゾンタイド○41-24●ジョーシア大学ブルドッグス
ここまで12戦全勝、全米ランク1位のジョージア大。今季12試合で83失点、1試合平均7点未満の失点という強力なブルドッグスディフェンスを、クリムゾンタイドのオフェンスが粉砕した。アラバマ大の立役者はQBブライス・ヤング。序盤に10点をリードされたが、QBヤングが第2Qに2本のTDパスを決めて逆転。ジョージア大もいったんは同点に追いつくが、アラバマ大はヤングのTDランで勝ち越した。さらに第3Q、ヤングがこの日3本目となる55ヤードTDパスを決めて突き放した。ヤングはパス421ヤード3TD、ラン40ヤード1TDでゲームMVPに選出された。
ヤングはまだ2年生だが、フレッシュマン(1年生)の昨年は、マック・ジョーンズ(現ペイトリオッツ)の下で控えとして勉強し、今季からスターター昇格。183センチ88キロと小柄だが、強肩かつ正確なパスで大活躍してきた。今季のハイズマントロフィーの最有力候補にもなっている。
BIG10チャンピオンシップミシガン大学ウルバリンズ○42-3●アイオワ大学ホーキーズ 10年ぶりに宿敵オハイオ州立大を破ったミシガン大が、その勢いに乗ってアイオワ大を撃破した。ミシガン大は第1Q、RBブレイク・コラムが右外を突くラン。このプレーだけスナップを受け、コラムにボールを渡した控えQBのJ.J.マッカーシーが追走して追い抜きブロッカーとなるという、カレッジらしいランプレーで67ヤードのTDとした。ミシガン大は次のオフェンスシリーズの最初に、スペシャルプレーでRBドノバン・エドワーズがWRローマンウィルソンに75ヤードのTDパスを決めた。ディフェンスでも、精神的支柱、DEエイダン・ハッチンソンらが4QBサックを決め、アイオワ大にTDを許さなかった。
ミシガン大は、現行のCFP制度で初の全米4強となった。CBチャールズ・ウッドソンやQBブライアン・グリーシーの活躍で、全米王者となった1997年シーズン以来の栄光を狙う。
ACCチャンピオンシップピッツバーグ大学パンサーズ○45-3●ウェイクフォレスト大学デモンディーコンズ
ハイズマントロフィー候補の1人、ピッツバーグ大のQBケニー・ピケットがパス253ヤード2TDとオフェンスをけん引し、ピッツバーグ大が2013年のカンファレンス移籍以降初めてACCの王者となった。ただ、この試合の真のヒーローはディフェンス。ウェイクフォレスト大のQBサム・ハートマンに5回のQBサックを浴びせ、4インターセプトを奪った。
BIG-12チャンピオンシップベイラー大学ベアーズ○21-16●オクラホマ州立大学カウボーイズPAC-12チャンピオンシップ(12月3日)ユタ大学ウーテス○38-10●オレゴン大学ダックス
【グループ5】AACチャンピオンシップシンシナティ大学ベアーキャッツ○35-20●ヒューストン大学クーガーズシンシナティ大が、勝負所で畳みかけるオフェンスで、ヒューストン大を破った。1点差で迎えた第3Q、QBデスモンドライダーがパスで2TD、さらにRBジェローム・フォードがランでTDを決め、21点を奪ってヒューストン大を突き放した。RBフォードはラン187ヤード2TDと活躍。ライダーも11/17ながら190ヤード3TDと効果的にパスを決めた。シンシナティ大は第5週にノートルダム大を破っているが、それが決め手となって、初めてグループ5の学校として、全米王座決定戦に進出することになった。
サンベルトチャンピオンシップルイジアナ大学レジンケイジュンズ○24-16●アパラチアン州立大学マウンティニアーズMWチャンピオンシップユタ州立大学アギーズ○46-13●サンディエゴ州立大学アズテックスMACチャンピオンシップノーザンイリノイ大学ハスキーズ○41-23●ケント州立大学ゴールデンフラッシュズC-USAチャンピオンシップ(12月3日)テキサス大サンアントニオ・ロードランナーズ○49-41●ウェスタンケンタッキー大学ヒルトッパーズカレッジフットボールの仕組み米カレッジフットボールは、最上位カテゴリーの1部FBSに所属する130校のうち、ノートルダム大学、ブリガムヤング大学などの独立校7校のを除く123校が、全米で10あるカンファレンスに所属している。
このうち、SEC、BIG10、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)、BIG12、PAC12が、名門校・強豪校が集まるメジャーカンファレンス「パワー5」とされている。
残りの5つのAAC(アメリカン・アスレチック・カンファレンス)、C-USA(カンファレンスUSA)、MAC(ミッド・アメリカン・カンファレンス)、MW(マウンテン・ウエスト)、サンベルトが、マイナーカンファレンスとされ、「グループ5」と呼ばれている。
「パワー5」と「グループ5」の違いは、観客動員だけをとっても、以下の表のとおりだ。収容人員が10万人を超える巨大スタジアムを有しているのは、すべてパワー5所属の大学のため、このような差が生じる。
米カレッジフットボール、各カンファレンスごとの観客数(2019年、NCAA調査)