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2021-12-07

【アメフト】カレッジ、全米4強が決まる アラバマ大、ミシガン大、ジョージア大、シンシナティ大

全勝のジョージア大を破って、2年連続のSEC優勝を決めたアラバマ大=photo by Getty Images

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米カレッジフットボールは今季第14週の12月3、4日(日本時間4、5日)、各カンファレンスの優勝決定戦が行われた。(写真はすべてGetty Images)
 カレッジ最強カンファレンスとして注目を集めるサウス・イースタン・カンファレンス(SEC)では、アラバマ大学が12戦全勝のジョージア大学を破って2年連続優勝した。アラバマ大はこの10年間で7回目のSEC王者となった。米東部から中部にかけてをテリトリーとして、高い人気と注目度を誇るBIG10カンファレンスでは、ミシガン大学がアイオワ大学に圧勝して17年ぶりのBIG10王者となった。またアメリカン・アスレチック・カンファレンス(AAC)では、シンシナティ大学がヒューストン大学を撃破して、優勝するとともに全勝を守った。

念願のBIG10タイトルを手にしたミシガン大の選手たち=photo by Getty Images

13戦全勝でAACを制覇し、史上初めてグループ5からCFPの4強に進出したシンシナティ大。試合後のフィールドはファンで溢れた=photo by Getty Images
 第14週の結果を受けて新たなランキングが決まり、全米王座を決めるカレッジ・フットボール・プレーオフ(CFP)に進出する4チームは、1位アラバマ大(12勝1敗、SEC優勝)、2位ミシガン大(12勝1敗、BIG10優勝)、3位ジョージア大(12勝1敗、SEC2位)、4位シンシナティ大(13勝、AAC優勝)となった。

 現行のCFP制度が始まってから、いわゆる「パワー5カンファレンス」と、独立校の強豪ノートルダム大学以外から、全米4強に進出したのはシンシナティ大が初めて。


 CFPの組み合わせは次の通り。
・コットンボウル(現地12月31日、AT&Tスタジアム)
アラバマ大(1位) vs シンシナティ大(4位)
・オレンジボウル(現地12月31日、ハードロックスタジアム)
ジョージア大(3位) vs ミシガン大(2位)

 勝者が、1月10日の全米王座決定戦で対戦する。
 
 第14週の全米各地のカンファレンス優勝戦の結果は次の通り。

【パワー5】
 SECチャンピオンシップ
アラバマ大学クリムゾンタイド○41-24●ジョーシア大学ブルドッグス

まだ20歳になったばかりのアラバマ大QBヤングは、再来年以降のNFLドラフトトッププロスペクトだ=photo by Getty Images

 ここまで12戦全勝、全米ランク1位のジョージア大。今季12試合で83失点、1試合平均7点未満の失点という強力なブルドッグスディフェンスを、クリムゾンタイドのオフェンスが粉砕した。アラバマ大の立役者はQBブライス・ヤング。序盤に10点をリードされたが、QBヤングが第2Qに2本のTDパスを決めて逆転。ジョージア大もいったんは同点に追いつくが、アラバマ大はヤングのTDランで勝ち越した。さらに第3Q、ヤングがこの日3本目となる55ヤードTDパスを決めて突き放した。ヤングはパス421ヤード3TD、ラン40ヤード1TDでゲームMVPに選出された。
 ヤングはまだ2年生だが、フレッシュマン(1年生)の昨年は、マック・ジョーンズ(現ペイトリオッツ)の下で控えとして勉強し、今季からスターター昇格。183センチ88キロと小柄だが、強肩かつ正確なパスで大活躍してきた。今季のハイズマントロフィーの最有力候補にもなっている。

BIG10チャンピオンシップ
ミシガン大学ウルバリンズ○42-3●アイオワ大学ホーキーズ

パスをワンハンドキャッチするミシガン大TEのシューメーカー=photo by Getty Images
 10年ぶりに宿敵オハイオ州立大を破ったミシガン大が、その勢いに乗ってアイオワ大を撃破した。ミシガン大は第1Q、RBブレイク・コラムが右外を突くラン。このプレーだけスナップを受け、コラムにボールを渡した控えQBのJ.J.マッカーシーが追走して追い抜きブロッカーとなるという、カレッジらしいランプレーで67ヤードのTDとした。ミシガン大は次のオフェンスシリーズの最初に、スペシャルプレーでRBドノバン・エドワーズがWRローマンウィルソンに75ヤードのTDパスを決めた。ディフェンスでも、精神的支柱、DEエイダン・ハッチンソンらが4QBサックを決め、アイオワ大にTDを許さなかった。
 ミシガン大は、現行のCFP制度で初の全米4強となった。CBチャールズ・ウッドソンやQBブライアン・グリーシーの活躍で、全米王者となった1997年シーズン以来の栄光を狙う。

ACCチャンピオンシップ
ピッツバーグ大学パンサーズ○45-3●ウェイクフォレスト大学デモンディーコンズ
ピッツバーグ大を初のACC優勝に導いたエースQBピケット=photo by Getty Images


ハイズマントロフィー候補の1人、ピッツバーグ大のQBケニー・ピケットがパス253ヤード2TDとオフェンスをけん引し、ピッツバーグ大が2013年のカンファレンス移籍以降初めてACCの王者となった。ただ、この試合の真のヒーローはディフェンス。ウェイクフォレスト大のQBサム・ハートマンに5回のQBサックを浴びせ、4インターセプトを奪った。

BIG-12チャンピオンシップ
ベイラー大学ベアーズ○21-16●オクラホマ州立大学カウボーイズ

PAC-12チャンピオンシップ(12月3日)
ユタ大学ウーテス○38-10●オレゴン大学ダックス
「これぞ、ゲイタ―レイドシャワー」優勝を決め、背後から豪快に浴びせかけられるユタ大のウィッティンガムHC=photo by Getty Images


【グループ5】

AACチャンピオンシップ
シンシナティ大学ベアーキャッツ○35-20●ヒューストン大学クーガーズ
シンシナティ大が、勝負所で畳みかけるオフェンスで、ヒューストン大を破った。1点差で迎えた第3Q、QBデスモンドライダーがパスで2TD、さらにRBジェローム・フォードがランでTDを決め、21点を奪ってヒューストン大を突き放した。RBフォードはラン187ヤード2TDと活躍。ライダーも11/17ながら190ヤード3TDと効果的にパスを決めた。シンシナティ大は第5週にノートルダム大を破っているが、それが決め手となって、初めてグループ5の学校として、全米王座決定戦に進出することになった。
13戦全勝でAACを制覇し、史上初めてグループ5からCFPの4強に進出したシンシナティ大のフィッケルHC(右)=photo by Getty Images

サンベルトチャンピオンシップ
ルイジアナ大学レジンケイジュンズ○24-16●アパラチアン州立大学マウンティニアーズ

MWチャンピオンシップ
ユタ州立大学アギーズ○46-13●サンディエゴ州立大学アズテックス

MACチャンピオンシップ
ノーザンイリノイ大学ハスキーズ○41-23●ケント州立大学ゴールデンフラッシュズ

C-USAチャンピオンシップ(12月3日)
テキサス大サンアントニオ・ロードランナーズ○49-41●ウェスタンケンタッキー大学ヒルトッパーズ


カレッジフットボールの仕組み

米カレッジフットボールは、最上位カテゴリーの1部FBSに所属する130校のうち、ノートルダム大学、ブリガムヤング大学などの独立校7校のを除く123校が、全米で10あるカンファレンスに所属している。
 このうち、SEC、BIG10、ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)、BIG12、PAC12が、名門校・強豪校が集まるメジャーカンファレンス「パワー5」とされている。
 残りの5つのAAC(アメリカン・アスレチック・カンファレンス)、C-USA(カンファレンスUSA)、MAC(ミッド・アメリカン・カンファレンス)、MW(マウンテン・ウエスト)、サンベルトが、マイナーカンファレンスとされ、「グループ5」と呼ばれている。
 「パワー5」と「グループ5」の違いは、観客動員だけをとっても、以下の表のとおりだ。収容人員が10万人を超える巨大スタジアムを有しているのは、すべてパワー5所属の大学のため、このような差が生じる。

米カレッジフットボール、各カンファレンスごとの観客数(2019年、NCAA調査)

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【小座野容斉】

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