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2021-12-13

【箱根駅伝の一番星】青学大の新エース・近藤幸太郎「駅伝は自分だけがいいんじゃダメ」チームの総合優勝のために走る

「エースがいないと言われていた」(原監督)青学大の新エースに成長した近藤幸太郎(3年)

陸マガの箱根駅伝2022カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。青山学院大の近藤幸太郎(3年)は、全日本大学駅伝の7区で田澤廉(駒大3年)と渡り合い、大学長距離界を代表するランナーの一人であることを示した。一方で、18秒差には思うところがあったという。箱根では、チームの優勝のための走りを追求する。


小さいようで大きい18秒の差


 学生トップの実力を持つ、駒澤大の田澤廉(3年)と渡り合ったことは、たしかに自信になった。

 それでも、18秒の差をつけられた。

 その差は、小さいようで大きい。

 それが青山学院大のエース、近藤幸太郎(3年)が全日本大学駅伝を走って感じたことだった。

 駒大と青学大の一騎打ちとなった全日本。タスキが7区に渡る時点で両校の間に差はなく、田澤と近藤が同じタイミングでスタートすることになった。見ている方は面白いが、当事者の近藤にとってみれば、責任重大な局面を迎えることになった。近藤はいう。

「てっきり、田澤君は去年と同じで、8区に来ると思っていたので、朝のメンバー変更を見て、『マジか』と思いました。しかも、秒差というか、同時にタスキリレーをしそうな流れになっていたので、『おいおい、マジかよ』と思いましたね」

 プレッシャーがかかる場面ではある。優勝を狙う以上、田澤に離されるわけにはいかない。それでも、やっぱり田澤は速かった。

「走ってて、『速っ』と思いましたね(笑)。そこからは自ら引いて、自分のペースを守るようにしました。その時点では悔しいというよりも、どうやったらいい位置でアンカーの飯田さん(貴之・4年)につなげられるかを考えて走りました」

 道中、田澤の背中が少しだけ大きく見えた時間帯があった。

「あれ、詰まってるな、と思ったんです。田澤君はできるだけ離そうとしていたでしょうから、そこに迫れたというのは自信になりました」

 同時にスタートして、その差は18秒。原晋監督も、近藤が大学長距離界を代表するランナーになったと高く評価する。

「すべての大学の分析を進めていますが、飛びぬけたエースというのは田澤君、三浦龍司君(順天堂大2年)、丹所健君(東京国際大3年)の3人だけです。その列に、わが青学の近藤が加わったということです」

 原監督の言葉は、近藤の自信にもつながっているようだ。

「うれしいです。箱根駅伝では、それだけに責任も大きくなると思いますが、しっかりとした走りで総合優勝につなげていきたいと思います。駅伝は、自分だけがいいんじゃダメですから。青学の優勝のためにいい走りをしたいです」

 箱根駅伝では、青山学院大の新エースの走りに注目して欲しい。


今季は日本インカレ5000m優勝、出雲駅伝1区区間賞、全日本大学駅伝7区2位と好調を維持している


こんどう・こうたろう◎2001年1月30日、愛知県生まれ。175㎝・57㎏、B型。代田中→豊川工高(愛知)。2年時の全日本で三大駅伝に初出場し、2区13位。続く箱根では7区3位で復路優勝に貢献した。今季は4月に10000mで28分10秒50、7月は5000mで13分34秒88と2種目で青学大記録保持者となった(いずれも自己ベスト)。出雲1区で自身初の三大駅伝区間賞を獲得。全日本7区で区間2位となり、田澤廉に続いて日本選手初の50分台に突入した(50分54秒)。自己ベストはハーフ1時間03分42秒(2019年)。紅白初出場が決定したBiSHのファン。「歌詞も熱くて、厳しい練習のときなんか、背中を後押しされる」(近藤)

文/生島 淳 写真/中野英聡

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