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2021-12-12

【アメフト】今季のハイズマントロフィーに、アラバマ大の2年生QBヤング 強肩と正確無比なコントロールでチームけん引

2021年のハイズマントロフィーを受賞したアラバマ大のQBブライス・ヤング=photo by Getty Images

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米カレッジフットボールの今季最優秀選手に贈られる「ハイズマントロフィー」の発表が、米ニューヨーク市で12月11日夜(日本時間12月12日)にあり、アラバマ大学のQBブライス・ヤングが選ばれた。アラバマ大からの受賞者は、昨年のWRデボンテ・スミス(現イーグルス)に続くもので、史上6校目の2年連続選出となった。米の多くのメディアは、ヤングの受賞を最有力と予想していたが、下馬評通りの選出となった。
 アラバマ大は、過去の選出はRB2人(マーク・イングラム、デリック・ヘンリー)とWR1人(スミス)だったので、ヤングがQBとしては初の受賞となった。
2021年のハイズマントロフィーの投票結果
 1位のヤングは2311ポイント。2位はミシガン大の4年生DE、エイダン・ハッチンソン(954ポイント)。3位はピッツバーグ大の4年生QBケニー・ピケット(631ポイント)、4位はオハイオ州立大の1年生QB、C.J.ストラウド(399ポイント)となった。ハーツは1位票の3/4近くを占める圧勝だった。

自分が何を成し遂げられるかを自分自身に証明した

受賞後、ヤングは次のようにスピーチした。

「私は、常に誰かから(QBとしては)プロトタイプではないと言われてきました。アフリカーナーのQBだったし、一般的に言って小柄だったし、プロトタイプではありませんでした。いつも除外されてきました。

でも私にとって常に重要だったのは、そういうことを言う彼らの間違いを証明することではなく、自分が何を成し遂げられるかを自分自身に証明することでした。

私は常に自分を追い込み、自分ができることを最大限に発揮するために全力を尽くしてきました。そして、周りの人々や神様の恵みのおかげで、私はここまで来ることができました。本当に感謝しています。」

 アラバマ大のヤングは2001年7月生まれの20歳で、ソフォモア(2年生)。高校通算でパス13520ヤード、152タッチダウン(TD)という実績を残して、QBとしては全米トップの評価でアラバマ大に進学した。フレッシュマン(1年生)だった昨年は、マック・ジョーンズ(現ペイトリオッツ)の控えとしてサイドラインで学び、今季から満を持して先発。今季13試合でパス314/462、68.0%、4322ヤード、43TD、4インターセプト(INT)。ランでも31ヤード3TD。183センチ、88キロと、華奢な体格ながら、強肩と正確無比なコントロール、さらにゲームの勘所を知り尽くしたクオーターバッキングで活躍してきた。
2021年のハイズマントロフィーを受賞し、スピーチするアラバマ大のQBブライス・ヤング=photo by Getty Images

 12月4日のサウス・イースタン・カンファレンス(SEC)優勝戦では、ジョージア大を相手に、パス421ヤード3TD、ラン40ヤード1TDでゲームMVPに選出されていた。

ヤングは、別の最優秀選手賞であるマクスウェル賞と、全米トップQBに贈られるデイビー・オブライエン賞も受賞している。現在2年生で、レッドシャツを経験していないため、来年のNFLドラフトにはエントリーしない。

 SECで12勝1敗で優勝したアラバマ大は、現地12月31日の全米王座決定戦準決勝のコットンボウルに登場、シンシナティ大と対戦する。この試合は日本時間の来年1月1日早朝から日本テレビ系のスポーツチャンネル「日テレジータス」で生中継される。
SEC優勝戦でジョージア大を倒した後、笑顔を見せるアラバマ大QBヤング。ハイズマントロフィーも下馬評通りの選出となった=photo by Getty Images
(左から)ハイズマントロフィー受賞のQBヤング、投票で4位のQBストラウド、3位のQBピケット、2位のDEハッチンソン=photo by Getty Images
両親と記念撮影する、ハイズマントロフィー受賞のQBブライス・ヤング=photo by Getty Images

NFLのQBがズラリ、直近10年のハイズマン受賞者


ハイズマントロフィーは、ポジションの特性としてQBの選出が多い。2000年以降の21年では、これでQBが17人目となった。他にRBが3人、WRが1人。

2010年からの受賞者は次の通り
2010年 オーバーン大QB キャム・ニュートン(現パンサーズ)
2011年 ベイラー大QB ロバート・グリフィン3世(元ワシントンなど)
2012年 テキサスA&M大QB ジョニー・マンジール(元ブラウンズ)
2013年 フロリダ州立大QB ジェイミース・ウィンストン(現セインツ)
2014年 オレゴン大QB マーカス・マリオタ(現レイダース)
2015年 アラバマ大RB デリック・ヘンリー(現タイタンズ)
2016年 ルイビル大QB ラマー・ジャクソン(現レイブンズ)
2017年 オクラホマ大QB ベイカー・メイフィールド(現ブラウンズ)
2018年 オクラホマ大QB カイラー・マレイ(現カーディナルス)
2019年 ルイジアナ州立大QB ジョー・バロウ(現ベンガルズ)
2020年 アラバマ大WR デボンテ・スミス(現イーグルス)

2020年のハイズマントロフィー受賞者、WRスミス=photo by Getty Images

ハイズマントロフィーとは?

 カレッジフットボールの個人賞としては、最高の栄誉に位置付けられるハイズマントロフィーは1935年に始まり、今年で87回目。

「卓越したパフォーマンスを誠実に追求してきたことを最もよく示す優れた業績に贈られる。受賞者は、優れた能力と、勤勉さ、忍耐力、努力を兼ね備えていることを象徴している」とされている。日本では、1973年に受賞したペンシルバニア州立大RBジョン・キャパレッティの実話をもとにした映画「ジョーイ」で有名となった。

 全米で資格を持つ記者(145人×6地域)と、過去の受賞者の中で存命者(今年は57人)の投票によってきまる。投票者は、1位(3ポイント)、2位(2ポイント)、3位(1ポイント)の順を付けて投票する。また、ハイズマントロフィーの現在のメーンスポンサー(正式にはプレミアムパートナー)は日産で、日産の1票は、同社がファン投票の結果を反映させている。

 ポジション別では、大半はQBが受賞、次に多いのがRBだ。WRは昨年のデボンテ・スミスが29年ぶりに受賞した。ディフェンスの選手は、長い間選考対象から外れていたが、1997年にCBチャールズ・ウッドソン(元レイダースなど)が受賞。これが唯一のディフェンス選手の受賞となっている。

2019年のハイズマントロフィー受賞者、QBバロウ=photo by Getty Images

【小座野容斉】

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