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2021-12-24

【箱根駅伝の一番星】フレッシュな頭脳派ルーキー、法政大学・小泉樹が挑む初の箱根路「今年はまず往路でチームに貢献。いずれは祖父と同じ1区で」

ルーキーながらチームの中軸を担う走りを見せる小泉

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陸マガの箱根駅伝2022カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。法政大学のルーキー、小泉樹は、4年連続箱根駅伝1区に出走した祖父の薫陶を受け成長、エース・鎌田航生に次ぐ存在として台頭してきた。初の箱根駅伝、まずは往路でチームに貢献するつもりだ。

「無理するな」が成長のカギに

古豪・法政大には、最大限の努力と無謀の間にあるグレーゾーンを縫って走るような泥臭さがある。ところが6月の全日本大学駅伝選考会の2組で3位、さらに10月の箱根駅伝予選会でチーム2番手の38位という成績を残し、箱根デビューが濃厚なルーキー小泉樹は少し違うのだ。

179cmのすらりとした長身で、語り口はスマート。まだ1年生だというのに、主将を務める4年生と話しているような錯覚を覚える。

大学入学後の記録について尋ねると、「自分の想像をはるかに超えています」と品行方正な笑顔を浮かべたうえで、「無理をしなかったのがよかったのかな」と落ち着いて分析する。

聞けば「無理するな」という教えは、1965年から68年まで、早稲田大で箱根1区を4年連続で務めた祖父・真二良さんによる薫陶なのだという。

祖父にあこがれ、「いつかは自分も」と箱根駅伝を目指すようになった小泉は、法政大に入学後、「距離の練習がめちゃくちゃ増えて、ケガしてしまうかなと思ったけど、自分なりにコントロールして、徐々に距離を上げてこられたのが順調の要因だったと思います」と振り返る。

祖父とは常にメールで連絡を取り合う仲。身近な箱根経験者との対話で、自分のリミットを見極める目を育てていたということだ。

高い駅伝IQ

一方、急成長した小泉を見て、「刺激を受けた」というのが、3年生の内田隼太(法政大二高・神奈川)だ。

「僕は調子がいいとバンバン上げて走っちゃうタイプ。それで1、2年のときはケガして走れなかった。でも、去年は鎌田航生さん(4年)を真似して、今年は、小泉を見習うくらいの勢いでやったんですよ。おかげで好調。先輩みたいなヤツです」

また、坪田智夫監督も駅伝IQが高い小泉に目を見張る。

「入学したときから冷静に陸上を考えられる子だったんですよ。“今日はどうしてその練習をしたのか?”と尋ねると、スパッと答えが返ってくる。1年生で陸上の話をできる子は、なかなかいないので“おっ”と思いましたね」

今年の法政大は総合5位以内を狙うという。前回は、内田をはじめ、故障者が多く、17位に沈んだが、今年度は6区まで6位と善戦した全日本大学駅伝(全8区間)での結果もあり、主将の清家陸(4年)が「5位以内は現実的な数字になっている」という明言する。

もちろん小泉もそう信じている一人だ。

「いずれ祖父と同じ1区を走るのが夢だけど、今年はまず往路を走ってチームに貢献したいと思っています」

1年生にして、チームに良い影響もたらしたフレッシュな頭脳派は今、法政大のジャンプアップを期している。

こいずみ・いつき◎2002年5月10日、東京都生まれ。179cm・62kg、A型。深川四中→國學院久我山高(東京)。高校時代は3年時に全国高校駅伝に出場し3区11位。大学1年目の今季は、全日本大学駅伝関東選考会2組で3位、箱根駅伝予選会ではチーム2番手の全体38位とチームの本戦出場に貢献した。自己ベストは5000m14分16秒32(2020年)、10000m29分13秒48(21年)、ハーフ1時間03分32秒(21年)。

文/鈴木快美 写真/長岡洋幸

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