王鵬(押し出し)魁聖今場所は新型コロナ感染の影響で、田子ノ浦部屋と錦戸部屋の力士が全員休場。関取では幕内髙安と十両水戸龍が休場となった。
また、違法賭博に関わったとして、幕内英乃海と新十両の紫雷の2人が師匠の判断で休場。こちらは場所後に大きな動きがあるのだろう。
土俵上では初日から熱戦が繰り広げられた。特に結びの照ノ富士と大栄翔の一番は、大栄翔があと一歩まで追い詰める大健闘だったが、先場所と同じような展開だったので、今日は新入幕の王鵬を取り上げたい。
王鵬は横綱大鵬の孫で関脇貴闘力の三男。高校から入門した同学年の琴勝峰、豊昇龍には後れを取ったが、21歳で新入幕を果たし、順調に出世街道を歩んでいる。初日は三役経験もある魁聖と対戦した。
立ち合い、モロ手突きで魁聖の上体を起こす王鵬。右ノド輪でのけ反らせ、左おっつけで横を向かせると、魁聖に何もさせず押し出して、うれしい幕内初勝利を挙げた。
「すごく重たかったんですけど、しっかり前に運べたのでよかった。前に出て勝てたので自信になります」と笑顔を見せる。
幕内土俵入りでは、「お客さんが多かったので、めちゃくちゃ緊張したんですけど、人が多いことで幕内に上がれたんだなと実感しました。相撲が初口(しょっくち)だったので、土俵入りからあっという間だったのも、余計なことを考えずよかったのかも。落ち着く暇がなかったから」と振り返った。
王鵬の場合、「大鵬の孫」という枕詞がついて回るが、「祖父の名前で応援してくれる人も多いので、すごく励みになります」と語る。
場所前の稽古も十分にできたようで、「調子はいいので、15日間、しっかり前に出て、自分の相撲を取っていきたいです」と意気込む。因みに祖父の大鵬は新入幕の場所で12勝、父の貴闘力は11勝で、ともに敢闘賞を獲得している。王鵬がどこまで星を伸ばせるかも注目したい。
今年の目標は、「やっと幕内に上がれたので、もっと上を目指していきます。できるだけ番付を上げていきたいです」と平幕上位、三役を目指していく。場所ごとに相撲内容がよくなっており、今後が楽しみな存在だ。
文=山口亜土