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2022-02-18

【しゅりんぷ池田のカード春秋】FUSIONカードで2020年を振り返る

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異例のシーズンとなった2020年も多くの記録が誕生しました。
さて、どんな記録だったのでしょうか。


 例年は勤労感謝の日あたりに発売されていた「FUSION」シリーズですが、2020年はペナントレースが11月中旬まで延びたため、例年より1カ月遅れの年末に発売されることに。

 プロ野球では毎試合のように記録が誕生します。スポーツ紙誌では、ある選手が記録を作ると、「この記録は●年●月の●●●●以来」と過去に同じような記録を達成した選手を報じますが、その同記録を成し遂げた現役選手とOB選手をそろってカード化するというのが、この「FUSION」シリーズのコンセプトなのです。異例のシーズンとなった今季もさまざまな記録が生まれました。

 まず、開幕戦で西勇輝、大瀬良大地がホームランを放ちましたが、これは史上12、13人目の開幕投手による記録で14、15本目なのだそうです。というのも開幕戦本塁打を2度記録している投手が2人いて、これが金田正一と平松政次なのです。75年の開幕戦は巨人の長嶋茂雄監督のデビュー戦でもあり、大変注目されていたので筆者も平松が自ら先制ホームランを打って勝利したことを、よく覚えています。


No.04 平松政次(洋)

 2020年史上初の3球団での最多勝投手となった涌井秀章ですが、8月5日には9回一死までパーフェクトを続け、ファンを騒然とさせました。結局、次打者にヒットを許し、1安打完封となったのですが、涌井はこれで西武、ロッテ、楽天の3球団で完封をマークすることになりました。その記録は14年に久保康友がロッテ、阪神、DeNAで達成して以来とのこと。NPBでプレーしていないため忘れられがちですが同投手も松坂世代の1人で、いまだ引退宣言はしていません。17年限りでDeNAを退団後は米独立リーグ、メキシカン・リーグでプレー。20年もメキシコで現役続行のつもりだったのですが、コロナ禍で同リーグが中止に。1年間プレーできなかったのですが、21年の久保はどうなるのでしょうか。残り少なくなった松坂世代の選手の去就が気になります。

BBMベースボールカード FUSION2020 No.43 涌井秀章(楽)
No.43 涌井秀章(楽)

BBMベースボールカード FUSION2020 No.44 久保康友(De)
No.44 久保康友(De)


 2020年のセ・リーグ新人王の森下暢仁ですが、明大時代の同期で同年に入団した伊勢大夢が同じ10月10日に勝ち星を挙げるという珍事がありました。「同じ大学から入団した新人投手の同日勝利」というのは過去に3例あったのですが、明大では79年の鹿取義隆、高橋三千丈以来2組目で、同組もまったく同じ10月10日に記録していたのですからビックリです。例年なら10月は、もうポストシーズンですから、なおさら珍しいケースだと思います。

BBMベースボールカード FUSION2020 No.85 伊勢大夢(De)
No.85 伊勢大夢(De)

BBMベースボールカード FUSION2020 No.86 森下暢仁(広)
No.86 森下暢仁(広)

BBMベースボールカード FUSION2020 No.87 鹿取義隆(巨)
No.87 鹿取義隆(巨)


 そして、2020年の記録の止めとなったのが11月5日の村上宗隆のサイクルスチールです。1イニングに二盗、三盗、本盗を連続して決めるこの記録は79年6月の島田誠以来41年ぶり17人目というパーフェクトゲーム(過去15人)並みの激レア記録。それも、とても盗塁などやりそうにないヤクルトの若き主砲・村上がやってくれたのですから驚きました(筆者はたまたま、このシーンをテレビ中継で見ていました)。41年前に島田にこの記録を決められた捕手は現役最晩年の野村克也で、同戦で実に6個の盗塁を許し、「今日はワシの一人負けや」とボヤいたのだとか。21年シーズンも、またいろいろな記録が生まれ、過去の名選手たちの業績が掘り起こされることでしょう。楽しみですね。

BBMベースボールカード FUSION2020 No.98 島田 誠(日)
No.98 島田 誠(日)

(週刊ベースボール2021年1月22日号 掲載記事再編)

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