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2022-01-29

【陸上】短距離女王・福島千里が現役引退を表明。後輩たちへ「苦しいときもあるけど、あきらめずにいろんなことに挑戦してほしい」

笑顔で引退と今後の活動について発表した福島

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日本女子短距離界に多くの金字塔を打ち立てた福島千里(セイコー)が1月29日、「セイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)」就任会見を開き、現役引退を表明すると同時に、今後は同役職で子供たちにスポーツの楽しさや感動を伝えていくことを発表した。

「小学4年生から陸上を始めて23年間。両親をはじめ支えてくださった方々、関わってくださった方々には感謝しかありません。寂しさはもちろん、あります。十分にやり切ったかと言われれば分かりませんが、頑張れるところは頑張ってきました。達成感というより、解放感はあります」

現在の心境をこう表現した福島。第一線から退く決意を固めた理由については、「タイミングとしては目指してきた4度目のオリンピック(東京五輪)が終わったこと、ここ数年はケガとともに走ってきましたが、特に最後の年はケガのリスクが多く、目指している目標に対して(自分が)やりたい練習よりも、やれる練習を選ぶことが多くなったことが大きな要因です」と、過去3年間ケガと戦い続けてきた苦しい胸中を含め、説明した。

だが、福島がここまで日本の女子短距離界に残した功績は計り知れない。

1988年、北海道生まれの福島は中学時代から全国大会で活躍も同世代のライバルの影に隠れる存在だったが、帯広南商高卒業後、北海道ハイテクACで競技を続け、2年目の2008年に飛躍。100mで日本選手権初優勝を遂げると、夏の北京五輪には女子100mでは日本勢として56年ぶりのオリンピック出場、翌09年のベルリン世界選手権では女子100mで同大会日本勢初、オリンピックを含めた世界大会では77年ぶりとなる1次予選突破を果たし、10年のアジア大会では100m、200mの二冠、11年のテグ世界選手権では100m、200mで準決勝進出を果たした。以降も世界の舞台に上り続け、オリンピックには2012年ロンドン、2016年リオ含めて3大会連続、世界選手権にも再び100mで準決勝に進出した15年北京大会まで4大会連続で出場を果たした。

日本選手権では2011年から6年連続で100m、200mの二冠をはじめ、各種目で各8回の優勝と圧倒的な強さを誇った。

自己ベストの100m11秒21(2010年)、200m22秒88(2016年)は現在も日本記録として残る。



日本選手権では100m・200m6年連続二冠を含め、各種目で8度の優勝を飾った(写真は2018年日本選手権200m優勝時)

福島は、一番印象に残っているレースを問われると、北京での2大会を挙げた。

「一番印象に残っているのは、初めて出場した2008年の北京オリンピックで、私の原点になってきました。あと同じ会場で行われた2015年の北京世界選手権100mの予選で、そこまで積み重ねてきたものを目指してきた走りをできたこと(11秒23の自己2番目の記録で準決勝進出)も印象に残っています」

また、自身の経験を踏まえて、後輩たちに贈る言葉を残した。

「ずっと長く陸上競技をやってきて、楽しいこと、苦しいこともありました。ただ、続けていないと分からない気持ちもあるので、あきらめずにいろんなことに挑戦したり、工夫して続けていってほしいと思います。また、今後、そういう選手を応援していきたいと思います」

今後は子供たちに陸上教室を通してスポーツの楽しさを伝えていく一方、現役の女子アスリートへのサポートも行うことを計画しており、アスリートとは違う立場で陸上競技に関わっていく。


早速行われた「セイコーわくわくスポーツ教室」ではオンラインで参加した10人の子供たちを早速指導

写真/セイコー提供、椛本結城

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