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2022-03-18

【しゅりんぷ池田のカード春秋】がんばれ、都立高校出身選手

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完封勝利はドラフト制以降史上2人目

 2020年8月にソフトバンクの石川柊太がプロ初完投を完封で飾った際に、都立高校出身の投手の完封勝利はドラフト制以降史上2人目と大きく報じられました。では、その1人目は誰だったかというと、1972〜77年にヤクルトに在籍した渡辺孝博という投手でした。この名前を覚えている方は相当熱心なプロ野球ファン、ヤクルトファンでしょう。そのころにプロ野球を見始めた私は当時のスワローズのローテーション投手を務めていた同投手のことをかろうじて覚えています。


BBMベースボールカード FUSION2020 No.38 渡辺孝博(ヤ)

 渡辺は八王子工高を卒業後の65年に東海大に進学。阪神などで活躍した1学年下の上田二朗とともに活躍し、在籍8季中に7度優勝を遂げます。その後、社会人の日立製作所を経て72年にドラフト5位でプロ入り。同年4月30日の中日戦でプロ初勝利を初完投初完封でマークしたのでした。同投手はわずか6年で引退し、通算でも24勝しか挙げていないのですが、その記録を見ていて驚くのが、実に完封勝利を5度も記録していることです。

 昨年限りで引退した日米通算170勝の岩隈久志の完封数はNPBで6度、MLBで1度(15年8月のノーヒットノーラン)の計7回ですから、その頻度の高さがうかがえます。やはり、昔の投手は完投・完封が当たり前だったのですね。

 考えてみれば、渡辺の記録は今から半世紀近い昔のことです。そんなに長い間、都立高校出身で活躍する投手が出ていなかったのですね。今季ドラフト4位で巨人入りした伊藤優輔投手も都立小山台高の出身で話題となりました。今後の活躍を期待したいものです。
(週刊ベースボール2021年2月15・22日号 掲載記事再編)

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