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2022-03-04

【しゅりんぷ池田のカード春秋】1938年の巨人の投手は7人しかいなかった

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82年も前の記録が掘り起こされた

 2020年は巨人の菅野智之が開幕から連勝を続け、開幕投手の連勝記録を13まで延ばし、2004年の岩隈久志(近鉄)の12連勝を更新して新記録を樹立し、話題を呼びました。

 菅野が連勝中に、よく報じられていたのが従前の球団の開幕投手の連勝記録を保持していたスタルヒンでした。同投手が開幕11連勝を記録したのが1938年のこと。菅野の活躍によって82年も前の記録が掘り起こされたのですから驚きです。


BBMベースボールカード FUSION2020 No.74 スタルヒン(巨)

 しかし、内容を精査してみると、その差は歴然です。菅野は6月19日の開幕から9月29日までに12連勝してスタルヒンの球団記録を更新したのですが、この間に要した日数は約100日。一方、スタルヒンは4月29日から6月19日にかけての約50日と菅野の半分の日数で11連勝していたのでした。

 当時は今のように先発ローテーションは確立されておらず、来る日も来る日もスタルヒンが投げていたのです。なにしろ38年シーズン(この年の春と秋は別シーズンとされているのですが、ここでは合算してカウントします)に投げた巨人の投手は前川八郎、水原茂、川上哲治(この年がルーキーイヤー)など7名のみ。チーム全体の投球イニングの過半を超える53パーセントをスタルヒンが投げていたのでした。

 一方、20年シーズンに登板した巨人の投手は実に28人。その中で唯一規定投球回を超えたのが菅野ですが、チーム全体の投球イニングに占める割合は13パーセントしかありません。「時代が違う」と言ってしまえばそれまでですが、何かの記録がきっかけで、こうした過去の事績が掘り起こされるのは興味深いですね。
(週刊ベースボール2021年2月1日号 掲載記事再編)

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