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2022-02-08

【ボクシング】宇津木秀が10戦目で日本ライト級王者に。2階級制覇狙う鈴木雅弘を9回TKO

宇津木が得意の右を鈴木にヒット

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 8日、東京・後楽園ホールで行われた日本ライト級王座決定戦10回戦は、4位の宇津木秀(うつき・しゅう、27歳=ワタナベ)が、元日本スーパーライト級王者で1位の鈴木雅弘(26歳=角海老宝石)を9回44秒TKOで下し、新王者となった。

文_本間 暁 写真_馬場高志

 9回開始早々、右を決めて鈴木に青コーナーを背負わせた宇津木は、右と右の相打ちに勝る。鈴木にはまだ余力があるようにも見えたが、それまでのダメージも考慮したレフェリーが試合を止めた。

 終わってみれば、宇津木の完勝だった。初回からスムーズな足運びで鈴木との間合いを詰めたり、離れたりしながら、テンポの良い左右ブローを伸ばしていく。これが実に程よく力が抜けていてリズミカル。基本的に、相手に攻めさせて左フックのカウンターを決める傾向にある最近の鈴木から主導権を奪うには、絶好の立ち上がりだった。

スムーズに伸びる宇津木の左
スムーズに伸びる宇津木の左

 その後もスルスルッと距離を詰め、回り込み、離れながら小気味よく左右ストレート、左ボディブローを集めていく宇津木に、鈴木は一撃強打狙いの凡庸なスタイルを取らざるをえない。宇津木の多彩な攻防に、羽をもがれ、そういう選択しかできない穴に追い込まれた感じだ。

「(鈴木のパンチに)威力を感じなかった」と宇津木。グローブでのカバーリング、ブロッキングはしっかりしており、見た目は派手な鈴木のブローは、宇津木の芯には届いていなかった。威力を感じないからこそ、宇津木の精神的なゆとりは増幅する。しっかりとディフェンスしていけばよい。流れは完全に宇津木のものとなった。

「アマでは頂点に立ったことがない」と宇津木。感慨深い夜となった
「アマでは頂点に立ったことがない」と宇津木。感慨深い夜となった

 そして4回。宇津木が右から左フックを返すと、鈴木は尻もちをつくダウン。宇津木は何度か連打を仕掛けて仕留めにかかるが、鈴木も猛然と打ち返して左フックを狙う。宇津木はふたたびコツコツとダメージを蓄積させていく戦法に切り替えた。集中しながらの余裕が増幅し、アッパーやフックの打ち分けもきめ細かに。デビュー当初から、冷静に相手の戦力を奪っていき、仕留めるという戦いぶりが目を惹いていたが、タイトルマッチでもそれが開花した。

「アマチュア時代、大一番で負けてばかりで、ようやく1番になれた。それがなによりも嬉しい」という宇津木の戦績は10戦10勝(8KO)。初黒星となった鈴木の戦績は8戦7勝(4KO)1敗。

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