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2022-03-04

【陸上】15年ぶりの東京マラソンに挑む新谷仁美。1kmあたりのペース考察から見る記録の行方

18年に現役復帰後の初マラソンとなる新谷

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ハーフマラソン後に行った20km走に光明

新谷は、全日本実業団ハーフマラソンでフィニッシュすると、そのまま20km走を1km4分00秒ペースで行った。メンタル的に落ち込んでいた新谷は、3km付近で止まる雰囲気があった。横田コーチも、練習でペースメーカーをすることが多い新田良太郎コーチも、そう感じたという。

だが、この日の新谷は最後まで走り切った。

「1本目のハーフをしっかり出し切って、その疲労のなかで20kmをやることが狙いでしたが、1本目が出し切っていなかったので、横田コーチが組み立てた意図とはかけ離れた練習になってしまいました。前回同じような練習をやったときは1本目をしっかり追い込めて、2本目の4分ペースの方がキツかったのですが、今回はそのときほどキツくなかった。意味がない練習とは言いませんが、トータルの練習の手応えは小さくなりました」

横田コーチも「ハーフはもっと走ると思っていました。マラソン練習で初めて外した」と認めている。だが、練習として考えた場合、ダメだったとは決めつけられない。

「(レースなのに)ピークを持って行けなかったことは良くありませんが、ポジティブにとらえればマラソン仕様になってきています。今週は走り込んできたので、その影響もあったかもしれません。僕としては、レース後の20kmをやりきってくれたことがよかった。マジで3kmでやめるかと思いました。前半10kmはイライラが出ていましたが、後半10kmは良かったですね」

新谷本人も20km走を走りきったことに、少しだけ光明を見出していた。

「20km走はやめようと思えばやめられましたが、やり切ったことがよかったです。40km走はやりませんが、マラソンはなんだかんだで距離があります。勢いや、全力でいくだけでは通用しない。そういう意味では今日の練習は、最低限のところは踏めたかなって思います」

東京マラソンに向けては「一度気持ちを落ち着けます」と繰り返した。メンタル面の落ち込みが尾を引いていれば、練習にも影響が出ているだろう。メンタル面さえ復活していれば、東京マラソンに向けてはそこまでマイナスは生じていないはずだ。

文/寺田辰朗 写真/中野英聡、JMPA

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