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2022-03-04

【陸上】15年ぶりの東京マラソンに挑む新谷仁美。1kmあたりのペース考察から見る記録の行方

18年に現役復帰後の初マラソンとなる新谷

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世界記録保持者コスゲイが参戦
ペースメイクは?

2月18日には東京マラソンの外国人招待選手が発表され、2時間14分04秒の世界記録保持者、ブリジット・コスゲイ(ケニア)が出場することが判明した。ペースメイクはレース前日に最終決定するが、コスゲイ用に2時間15分前後のペースメーカーが用意された場合、1kmが3分12秒ペースになる。新谷といえど、それに付くことはできないだろう。

コスゲイ以外では自己記録2時間17分57秒のアンジェラ・タヌイ(ケニア)、2時間18分18秒のアシェテ・ベケレ(エチオピア)、2時間19分35秒のヒウォト・ゲブレキダン(エチオピア)がサブ20(2時間20分未満)選手として名を連ねる。2時間17分前後の設定なら3分15秒ペースになる。

そのペースなら新谷も、前半はその集団で走ることはできるかもしれない。しかし2月1日の会見時に東京のコースの難点として、「前半がなだらかな下りが続くことです。調子に乗ってしまうとそこで、意図したペースより上がってしまいます。それはマラソンではあってはいけないこと」と話していた。

3分17秒ペース(フィニッシュ2時間18分30秒)なら、日本記録更新を狙う新谷にちょうどいい。2時間17~19分台の3人も30km以降の走り次第で自己記録を出すことができる。自己記録が2時間20分台のゴティトム・ゲブレシラシエ(エチオピア)とサラ・ホール(米)、一山麻緒(ワコール)らも集団に加わることができるだろう。

2月28日に横田コーチが【リズム】というタイトルでSNSに記事を投稿した。新谷のリズムがどういうことなのか、指導者側からの理解が深まったという。

一部を抜粋する。

「彼女は1km3分のペースが体に染み込んでいます。そこからマラソンの日本記録は1kmあたり18秒遅いわけですが、彼女にとってそれが遅く感じるかと言うとそういうわけでもないんですよね。きっと3分の“リズム”と違うからなにかが噛み合わない」

マラソン練習を始めて疲れが蓄積していたことも、その一因かもしれないと分析している。その状態からレースに向けて、フレッシュな状態をつくっていく。

横田コーチは以下のように結んでいる。

「新谷が本来持っているリズムを取り戻すことが大事なのか、それともマラソンのリズムをつかませることを考えていくのか。最後の2週間の調整はとってもスリリングでした。大会本番、新谷さんが良いリズムで走れるように祈っててください」

東京マラソンを1km3分何秒ペースで走るのか。そこが一番の注目点だが、そのペースを新谷がどう感じて走っているのか。そこが日本記録への挑戦を左右する。

文/寺田辰朗 写真/中野英聡、JMPA

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