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2022-03-08

【ボクシング】中嶋一輝が初回左一撃KOでしぶとい川島をねじ伏せる

「手応えのない」パンチで倒した中嶋

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 8日、東京・後楽園ホールで行われた56.0kg契約8回戦は、前・東洋太平洋バンタム級王者で現日本スーパーバンタム級6位の中嶋一輝(28歳=大橋)が、元日本ランカーの川島翔平(30歳=真正)を1回3分KOに下した。

文_本間 暁 写真_小河原友信

 昨年10月、栗原慶太(一力)に2回TKOで初黒星。東洋太平洋王座を奪われた中嶋は、スーパーバンタム級+700gと、バンタム級から2.5kgアップで、見違えるような動きを披露した。

「バンタム級では体が動かない」ほどの減量苦から解放された影響に加え、「倒そうと力むボクシングをやりすぎていた。リラックスして、アマチュア時代のボクシングを思い出そうと思った」と、“原点回帰”を頭に入れていた。

 足が地についている。それでいて、上体は余計な力が抜けて放つブローもスムーズに飛び出す。サウスポーの中嶋と、オーソドックスの川島は、前の手同士を叩きつけながら駆け引きし、タイミングを計り合う。中嶋は左アッパー、ストレートをボディに送る。川島はそれに対して右をリターン。右をスイング気味に大きく飛ばし、ストレートを叩きつける。だが、中嶋はグローブや腕で難なくカバーし、スッと忍び寄って力感を抜いた左ストレートを伸ばす。

力まないから突っ込みすぎない。中嶋は、自分の基盤を作ったアマチュア時代のスタイルも思い出したようだ
力まないから突っ込みすぎない。中嶋は、自分の基盤を作ったアマチュア時代のスタイルも思い出したようだ

 ラウンド終了間際、川島が中嶋の右サイドへ回り込もうとしたときだ。巻き込むようにして放った中嶋の左フックが川島の右側頭部を捉える。「感触は全然なかった」という中嶋だが、この一撃で川島は回転するようにしてキャンバスに尻から着地。レフェリーのカウントが進むが、立ち上がることができずにカウントアウトされた。

 決して派手ではないが、前後や上下の動きを繰り返した中嶋は、それでリズムに乗った。肩に力が入りすぎ、腕力で倒そうとしていたここ数戦とは明らかに違った。リズムと距離の大切さ、「パンチは足で打つ」を実感できたことだろう。タフで粘り強い川島を一撃で倒したことも評価したい。

「日本、また東洋のベルトを獲って、世界チャンピオンになります」

 クールな表情を崩さなかったが、自身の方向性を見定めた手応えはあったはずだ。

 中嶋の戦績は13戦11勝(9KO)1敗1分。川島は27戦18勝(4KO)7敗2分。

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