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2021-10-20

【ボクシング】「スラッガー」栗原慶太の右炸裂!王座に返り咲く

中嶋(右)をロープに詰め、右を叩きつける栗原

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19日、東京・後楽園ホールで行われた東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦は、挑戦者の栗原慶太(28歳=一力)が強打で一気に攻め落とし、無敗王者の中嶋一輝(28歳=大橋)に3回52秒でTKO勝ち。9ヵ月ぶりの王座に返り咲いた。

 息を潜めるような立ち上がりだった。不退転の覚悟で王座奪還を誓っていた栗原は距離を取りながら、相手のパンチをしっかり見ていた。ハードパンチャーで鳴らす中嶋の大きな左フックが飛んできても右手でブロック。練習から右ガードの位置を念入りに確認していたという。相手の伸びるような左ストレートにも対応。パンチは当てられながらも、バックステップでいなし、大きなダメージを受けることはなかった。

 2回にはギアを上げてきた王者にペースを握られそうになるが、待ってましたとばかりに反撃。強打のサウスポーが懐に飛び込んでくると、タイミングよく右を合わせた。単発で終わらないのが栗原の強さ。ロープを背負わせ、相手のお株を奪う力強いパンチを次から次に繰り出す。スイッチが入ったときの連打には、目を見張らされた。

 そして迎えた3回。ぐいぐいプレスをかけて、ロープへ追い詰めていく。長い左手をぐんと伸ばし、相手の視界を奪った刹那、狙いすました強烈な右フックが炸裂。スローモーションの映像を見るように、目の前の中嶋はそのまま前のめりに倒れていった。表情はうつろ、目の焦点も合っていないように見えた。離れたコーナーでふらふらする姿をじっと見ていたチャレンジャーは、中嶋のファイティングポーズを確認すると、一気に勝負をかける。またたく間に距離を詰めて、パワー全開で豪腕を振り回す。抱きつかれそうになっても、強引にふりほどき、大きな右を打ち込む。パンチを浴びたチャンピオンがどすんと尻もちを付いた瞬間、すぐさまレフェリーが試合を止めた。ラウンドが始まってわずか52秒。鮮やかな速攻劇だった。

王座へ返り咲き喜ぶ栗原とキャンバスに沈んだ中嶋
王座へ返り咲き喜ぶ栗原とキャンバスに沈んだままの中嶋

 勝利を告げるゴングが鳴り響くと、栗原の笑顔は弾けた。リングの上で飛び跳ね、観衆の大きな拍手に応えて、手を上げた。グローブをしたままマイクを握り、また満面の笑みを浮かべた。「最高にうれしいです。前回負けて、もうあとがないないという思いでやってきました。きょうは何が何でも勝ちたかった」

 今年1月に井上拓真(大橋)に敗れて、東洋太平洋王座から陥落。敗北から9カ月、雪辱を誓って、技術練習に励んできた。「自らの培ってきたものを披露したい」

 戦う前に力強く語っていた言葉どおり、最高の結果と内容で成長した姿を見せた。栗原の成績は22戦16勝(14KO)6敗。プロ初黒星で初防衛に失敗した中嶋の戦績は、12戦10勝(8KO)1分1敗。

文/杉園昌之 写真/菊田義久

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