close

2022-03-13

【ボクシング】清水聡&丸田陽七太の標的、WBAフェザー級王座は最終回劇的決着!

ロープを背負わせて連打を仕掛ける王者ウッド

全ての画像を見る
 12日(日本時間13日)、イギリスのノッティンガム・アリーナで行われたWBA世界フェザー級タイトルマッチ12回戦は、王者リー・ウッド(33歳=イギリス)が挑戦者1位のマイケル・コンラン(30歳=アイルランド)を最終回1分25秒TKOに下し、王座の初防衛に成功した。

Photos/Getty Images

 ポイント劣勢を悟っていた王者ウッドが、最終12回も猛烈に迫った。コンランにロープを背負わせて、嵐のような左右の連打を降り注ぐと、両腕をだらりと下げたコンランは、気絶したままロープ外に落下。レフェリーがノーカウントで試合を止めると、逆転勝利を手に入れたウッドは絶叫し、場内の大観衆も狂喜乱舞した。

立ち上がりから、テクニックで大きく上回るコンランがリードしたのだが…
立ち上がりから、テクニックで大きく上回るコンランがリードしたのだが…

 2012年ロンドン五輪フライ級銅メダリストのコンランが、初回から圧倒していく展開だった。サウスポースタイルがメインの挑戦者だが、オーソドックスでスタート。腕を下げた状態から突き上げる左をオープニングヒットすると、サウスポーに代わって執拗に左ストレートをボディに突き刺す。これを意識させられたウッドに、下に来ると見せかけて左オーバーハンド。これがアゴ先を捉えると、王者は背中からキャンバスに叩きつけられた。

 倒れ込んだ際に頭がバウンドする危険な倒れ方。ラウンド終了間際ということもあって、立ち上がったと同時にコーナーへ戻ることができた王者だが、そのダメージは深刻。2ラウンドに入ると、コンランが試合を決めようと仕掛け、ダメージを引きずるウッドはクリンチや、巧みなホールディングで辛くも回避した。終わってみれば、挑戦者はこの序盤で試合を決めておきたかった。

 その後、徐々にダメージを回復させていったウッドだが、コンランの防御技術の高さに、連打は空を切るばかり。互いにスイッチを繰り返すめずらしい展開にもなったが、ポイントはどんどんコンランが手にしていった。

 中盤以降、やや疲れの見え始めたチャレンジャーに対し、チャンピオンがロープに押し込む場面が増えていく。それでも要所を押さえてポイントを奪っていたのはテクニシャンだったように思う。

 王者を元気づけたのは11ラウンド。左フックでコンランの顔をかすめると、バランスを崩したようにして挑戦者がキャンバスにヒザを着く。これをレフェリーはノックダウンと宣告。スリップに近いものと感じたが、コンランの疲労度の深さをも思わせた。そこで一気呵成し、劇的な逆転KOにつなげた王者の執念は見事だった。

挑戦者をロープ外に叩き出す逆転KO防衛し、雄たけびを上げる王者
挑戦者をロープ外に叩き出す逆転KO防衛し、雄たけびを上げる王者

 ウッドは昨年7月にシュー・ツァン(中国)から王座を奪った試合に続き、最終回ストップ勝利で初防衛。これが初黒星となったコンランは、昨年8月にアイルランド国籍でオーストラリアを拠点とする元IBFスーパーバンタム級王者TJ・ドヘニーとWBA暫定王座を争って勝利したが、その後WBAが暫定王座を廃止し、1位に据えられていた。
 ウッドの戦績は28戦26勝(16KO)2敗。コンランの戦績は17戦16勝(8KO)1敗。

 国内フェザー級はWBOアジアパシフィック王座を返上し、OPBF王座を持つ清水聡(36歳=大橋)、日本王者・丸田陽七太(24歳=森岡)、前日本王者・佐川遼(27歳=三迫)、5月に丸田に挑む阿部麗也(28歳=KG大和)と4人の世界ランカーがいる。

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事