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2022-04-17

【陸上】男子砲丸投のアツオビン・ジェイソンが目指す前人未踏の19m台とその先

日本人初の19m台に意欲を燃やすアツオビン(写真/中野英聡)

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レモンガススタジアム平塚(神奈川)で4月15日から行われている日本学生個人選手権の男子砲丸投で、アツオビン・ジェイソン(福岡大2年)が大会新記録の18m42で優勝した。

男子砲丸投でアツオビンが圧巻の18m42! 「日本選手権で19mを投げたい」

「18m42は自己ベストですが、3~5投目で自分の投げができなかったところが悔しいです」
日本歴代7位、学生歴代3位のビッグプットにも、納得の表情は見せなかった。

この日は2投目に18m10と出場者で唯一の18m台に乗せた。しかし3投目はファウル、4、5投目は17m台の中盤と記録を伸ばせず、「腰の捻転、回転の強さがないまま投げてしまった」とアツオビン。5投目を終えて、野口安忠先生から「グライドで下半身を先行させると、押し切れずに跳ね返されることがあるので、奥まで突くように」という指示を受けると、最後の1本は「気持ちというか、突き出すだけという感じで」思いっきり押し切ることができた。大きな放物線を描いたその1投は、大会記録を超えて18m42に着地した。

 天性のスピードとバネを生かして、高校では19m28(6.000kg)と高校生史上初めて19mを超えて高校記録を樹立した。大阪桐蔭高3年のときには日本陸連が次世代の競技者を強化育成するダイヤモンドアスリートにも選出されている。福岡大に進学し、日本歴代5位(18m53)の記録を持つ野口先生から直接指導を受け、昨秋からは本格的にウェイトトレーニングを開始し、体重は11月から5kg増加して103kgになった。「理論上では、今のスピードを維持できるのであれば、体重が1kg増加したら記録は20cm伸びる」と野口先生。あくまで理論上の話しだが、それであれば、あと3kg増量すれば19mが現実的になる。筋力アップについては、まだまだ着手したばかりの段階というが、日本人で史上初めての19m台も「グライド投法で十分に届く記録だと思っている」と野口先生は期待する。

 アツオビン自身は「今年の日本選手権で19mを投げたい。日本人で最初に19mを投げたい」と目の奥をメラメラさせる。

「目標はパリ五輪。そうなると21mという標準記録は大学3年の後半から4年初めには出さないといけない。逆算すると、来年のユニバーで入賞、今季は19m20~50を投げたいと思っている」

日本人初の19m台に意欲を燃やすアツオビン(写真/中野英聡)
個人選手権に合わせて冬期練習を積んできたというアツオビン。目標の19mには届かなかったが、大会新記録で優勝を果たした(写真/中野英聡)

 砲丸投のオレゴン世界選手権参加標準記録は21m10だ。日本記録が18m85であることを考えれば、それがはるかに高い設定記録であることが分かる。それでもアツオビンには、その高い壁を超える自分が描けているのだろう。

文/新甫條利子 写真/中野英聡

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