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2022-03-04

【陸上】15年ぶりの東京マラソンに挑む新谷仁美。1kmあたりのペース考察から見る記録の行方

18年に現役復帰後の初マラソンとなる新谷

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3月6日の東京マラソンを、新谷仁美(積水化学)が走る。同大会では実に15年ぶり、マラソン自体は13年ぶり通算4回目の出走となる。18年に現役復帰を果たして以降、10000m、ハーフマラソンで日本記録を打ち立ててきたランナーのマラソン挑戦に大きな注目が集まる。

新谷は、10000mとハーフマラソンの日本記録保持者で、マラソンでも日本記録更新が期待されている。2月1日に行われた記者会見や13日の全日本実業団ハーフマラソンでは、新谷も、指導するTWOLAPS TCの横田真人コーチも、1kmあたりのペースに何度も言及していた。

3種目の日本記録樹立時の1kmあたりのペースは以下の通りである(カッコ内は最終結果)。

10000m:3分02秒04(30分20秒44)
ハーフマラソン:3分09秒50(1時間06分38秒)
マラソン:3分17秒94(2時間19分12秒)※野口みずき(2005年)

新谷がどんなペースでマラソンに再挑戦するのか。全日本実業団ハーフマラソン時の取材を中心に、新谷陣営の考えを紹介する。

実業団ハーフマラソンで自信を喪失

「正直なところ、(東京マラソンへの)自信は全くありません。そういう結果になってしまいました」

山口県で行われた全日本実業団ハーフマラソンは1時間10分12秒で5位。レース後の新谷は完全に意気消沈していた。東京マラソン前の最後の実戦だったが、タイムも順位も想定以下の結果に終わってしまった。

新谷と横田コーチのレース前後の話を総括すると、1km3分18~20秒ペースで走破するつもりでいた。しかし昨年12月に10000mで今夏の世界選手権標準記録を破った五島莉乃(資生堂)が、3分15秒ペースで走破した。新谷とともに東京五輪10000m代表だった安藤友香(ワコール)も、そのペースに乗った。

だが、新谷は自重した。予定より3秒以上も速いペースだったからだが、新谷自身も「最初からちょっと動かなくて」という状態だった。この日の雨と低温が走りに影響したと感じた選手も、影響なかったと感じた選手もいた。33歳の新谷は影響を受けた可能性がある。

1時間10分12秒は1km平均で3分19秒64。ぎりぎり想定内と言えなくもないが、新谷は勝敗にもこだわっていた。15kmからはペースに関係なく、勝つための走りをする予定でいた。

新谷は「プロである以上、結果にこだわらないといけない」というポリシーを貫いてきた。だが15km地点ですでに1分09秒差がついていた。どう走っても逆転は難しかったが、五島が20kmまでの5kmを15分50秒で走ったのに対し、新谷は16分51秒もかかった。

「体がもう全く動きませんでした」

東京マラソンに向けて、新谷自身は全くプラス材料を感じられなかった。


全日本実業団ハーフではプラスの材料は全く感じられない結果となったが……

文/寺田辰朗 写真/中野英聡、JMPA

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