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2022-05-15

【ボクシング】因縁の再戦はジャーメル・チャーロが劇的KO勝ち スーパーウェルター級王座完全統一

カスターニョのガードを突き破ったチャーロの左フックからKO劇は始まった

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 主要4団体すべてのタイトルがかけられた世界スーパーウェルター級王座統一戦12回戦は、14日(日本時間15日)、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス近郊カーソンのディグニティヘルス・スポーツパークで行われ、WBAスーパー・WBC・IBFの3つのベルトを保持するジャーメル・チャーロ(31歳=アメリカ)が、WBOチャンピオンのブライアン・カスターニョ(32歳=アルゼンチン)を10回2分33秒KOに下し、全世界タイトルを掌中にした。

厳しい戦いの中でチャーロは常に勇敢だった

 両雄は昨年7月、全タイトル制覇をかけて対戦し、死力を尽くした打撃戦の末、引き分けに終わっている。再びの対決でもまるで続編を見ているようなパンチの応酬が続いた。ただ、大きく違っていたのは、どんな局面にあっても、チャーロが冷静だったこと。どこまでもタフな技巧派パンチャー、カスターニョのスキをついて、正確にして強烈なパンチで痛めつけた。序盤は互いがポイントを奪い合う展開になったが、そんななかでもチャーロはアルゼンチン人に着実にダメージを埋め込んでいった。
チャーロ(左)は正確にして強烈なカウンターアタックでカスターニョを追い込んでいく
チャーロ(左)は正確にして強烈なカウンターアタックでカスターニョを追い込んでいく

 決め手は左フックだった。勇敢にプレスをかけてくるカスターニョの右ストレートの打ち終わりに、わずかなスキができるのをチャーロは読んでいたのだろう。タイムリーなレフトフックが何発もヒットする。さらに得意の右ストレートも加えた。カスターニョは決して弱みをあらわにはしなかったが、その下半身が何度か不安定に揺れた。

 4回以降、チャーロへと流れ始めた戦いは、6回、カスターニョが決死の攻撃で押しとどめる。右ストレート、左フックでライバルを押し込んだ。ただし、アルゼンチンの勇者が、本来の攻撃力を発揮したのはここまでだった。
カスターニョもしぶとく食い下がったが、今回は力負けだった
カスターニョもしぶとく食い下がったが、今回は力負けだった

 場内に『チャーロ・コール』がこだました7回、だが、チャーロは攻撃を控えて、アウトボクシングに転じる。カスターニョはこれを追いきれない。数は少ないものの、チャーロの強打もしたたか浴びた。8回はカスターニョが頑張ったが、9回終盤にはチャーロの左フックをボディに、アッパーカットを顔面にと打ち込まれ、動きが止まった。

壮絶なKO勝利を収めた勝者はどこに行くのか

 そして、10回、激戦に唐突でも凄絶なエンディングが訪れる。粘るカスターニョが迫ってくるところに、チャーロは右アッパーのボディブローから左フック。堅固なガードの隙間を縫うように襲ってきたその左を顔面に直撃されたカスターニョは、体をチャーロに預けた後、全身の力が抜けたかのようにヒザから崩れ落ちる。

 勇敢にも立ち上がったカスターニョだが、足もとは定まらない。レフェリーのジェリー・カンツは続行を認めたものの、チャーロの左ストレートでアゴを大きく跳ね上げられ、さらに左をボディに突き刺されると、ひれ伏すようにダウンする。レフェリーは1度はカウントを取り始めたが、これを中止して試合終了を宣言した。
「最高の気分だ」と念願の王座統一を果たしたチャーロ
「最高の気分だ」と念願の王座統一を果たしたチャーロ

 念願の王座統一を果たしたチャーロは感無量の表情。「最高の気分だ。神経が擦り切れるような戦いだったが、すべてを出し切った。ほんとうのボクシングを見せられたと思う」。37戦35勝(19KO)1敗1分。

 スーパーウェルター級には身長197センチのセバスチャン・フンドラ(アメリカ)、史上に残るレジェンドの息子ティム・ジュー(オーストラリア)、有能な技巧派ファイター、イスマイル・マドリモフ(ウズベキスタン)、さらにプロキャリア5戦ながら圧倒的な破壊力で話題を集めるヨエルビス・ゴメス(キューバ)ら精鋭が揃う。このなかで存在感をさらに高めていくのか。それとも双子の兄弟ジャモールがWBC王座に君臨するミドル級に新たな境地を見つけ出すのか。しばらく思考の時間は続きそうだ。

 一方、「ぼくらが最高のファイターであることは証明できたと思う。だけど、チャンピオンはジャーメルだ」と語ったカスターニョは20戦17勝(12KO)1敗2分となった。

文◎宮崎正博(WOWOWオンデマンド観戦)写真◎Getty Images

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