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2022-06-26

【ボクシング】井岡一翔もうかうかしていられない!? 新星ロドリゲスが豪打のシーサケットをTKOに下す

最後は連打の雨。ロドリゲスが古豪をストップしてV1を完遂

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 25日(日本時間26日)、アメリカ・テキサス州サンアントニオで行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンのジェシー・ロドリゲス(22歳=アメリカ)が、元チャンピオンの挑戦者シーサケット・ソールンビサイ(35歳=タイ)を8回1分50秒、レフェリーストップによるTKOで破り、初防衛に成功した。過去2度、このタイトルを手にしているシーサケットの復活はならなかった。

若いロドリゲスが古豪を寄せつけず


 ラッキーボーイの勢いが止まらない。その理由はこの初防衛戦ではっきりした。ゆっくりと開花させるはずだった才能が、大きな勝利を手にしたことで、一足飛びで満開近くにまで至ったのだ。今年2月、本来ならシーサケットが出場予定だった王座決定戦。そのシーサケットが体調を崩し、前座に出場するはずだった本来ライトフライ級のロドリゲスに代役のチケットが手渡される。厳しい条件だが、ロドリゲスはこのチャンスを逃さなかった。やはり元チャンピオンのカルロス・クアドラス(メキシコ)からダウンを奪って判定勝ち。兄のジョシュア・フランコ(WBA)に続いて、スーパーフライ級の頂点の一角を奪い取ったのだ。

 そして迎えたV1戦、ロドリゲスは勢いにまかせて戦ったのではない。対戦者を研究し、瞬間に見せる古豪のスキを決して見逃さないクレバーな攻撃で主導権を奪い取る。そして、じっくりと勝利への行程を歩んでいった。

 同じサウスポーのシーサケットは馬力抜群。やや武骨な戦い方ながらも破壊力には定評がある。最初にタイトルを奪ったのは佐藤洋太(協栄)から。タイに遠征したチャンピオンは重いパンチの雨で押しつぶされた。さらに4階級制覇のレジェンド、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)をも痛烈KOに沈めた。そんなシーサケットも、この日はロドリゲスに一粒の恐怖さえ与えることができなかった。

 初回からロドリゲスの手堅さが目立った。最後まで崩すことのなかった高いポジションに置くブロッキングに警戒感をにじませながらも、ひと桁違うスピードでシーサケットを追い立てた。シャープなジャブを打ち込み、ラウンド終了まで15秒の時点で打ち込んだワンツーストレートはさらに効果的に見えた。

 ロドリゲスは早くも波に乗った。ラウンドを追うごとに攻撃のバリエーションを加えていく。3回にワンツーでタイ人をたじろがせ、4回には右フックを交えたコンビネーション、さらにボディブローもタイ人を苦しめた。
シーサケットが見せるわずかなスキをついて、チャンピオンの鋭いパンチが何度も決まった
シーサケットが見せるわずかなスキをついて、チャンピオンの鋭いパンチが何度も決まった

 6回、7回と反撃を試みたシーサケットだが、ロドリゲスがうまく間合いを作って空転させる。さらに展開の隙間を縫うように鋭敏な反応で有効打をヒットさせる。ことに7回にはシーサケットがわずかにバランスを崩すところに左ストレートを決めてダウンを奪う。すぐに立ったシーサケットだったが、ダメージは意外と深かった。ロドリゲスの追撃のパンチに反応できず、何度も棒立ちになる。コーナーに帰るその足取りを、レフェリーのマイク・カローイが慎重に見つめていた。

 そして8回、ロドリゲスは一段とギアを上げた。左右のパンチにさらされ、シーサケットは防戦に追い込まれる。若いチャンピオンは左ストレートからチャンスをつかみ、連打をまとめ上げた。2度ほどロープに体をバウンドさせて倒れるのを拒んだシーサケットだったが、レフェリーが試合終了を宣した。

スーパーフライ級は魅惑の新顔がいっぱい

 クレバーで歯切れのいい攻撃力を持つロドリゲスは軽量級でもスターに育つ可能性は大きい。この日は地元サンアントニオの試合ながら、3000人強の観客収容能力しか持たないテックポート・センターが会場だったが、いずれは同市にある7万人収容のアラモドームでメインを張る日がやってくるかもしれない。

 それにしても、スーパーフライ級に新しい顔ぶれがどんどん登場してくる。WBOの井岡一翔(志成)、WBCの名誉タイトル、ダイヤモンド・チャンピオンに君臨するローマン・ゴンサレスは不動ながら、第一人者とされてきたファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)は試合が決まらず、最近ではバンタム級転向のうわさも流れる。井岡と統一戦がパンデミックの影響で流れたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)は伏兵、フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)にIBF王座を明け渡し、WBAとWBCのトップをフランコとロドリゲスの兄弟が分け合う。

 今、井岡とロドリゲスが戦えば、ボクシングの精度では井岡にかなりの分があるとは思うが、大きな勝利の連続で若いボクサーは2段3段飛ばしで強くなっていくもの。いつかは互角の実力を身につけるのだろう。ただし、ロドリゲスのトレーナーのロバート・ガルシアは「ジェシーのベストはフライ級」として、いったんウェイトを下げることも示唆している。いずれにしても今後の動向に注目したい。

 ロドリゲスは16戦16勝(11KO)。シーサケットは57戦50勝(43KO)6敗1分。

文◎宮崎正博(DAZN観戦) 写真◎Ed Mulholland/Matchroom

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