7月13日、東京・大田区総合体育館でWBO世界スーパーフライ級チャンピオン、井岡一翔(33歳=志成)とタイトルをかけて対戦する同1位の挑戦者ドニー・ニエテス(40歳=フィリピン)は、7日、オンラインで練習を公開した。同時に行われた記者会見では、4階級制覇世界チャンピオンの先輩としてプライドを隠そうとはしなかった。 井岡とニエテスは2018年の大晦日、ミニマム級からの4階級制覇の先陣争いをマカオで行い、フィリピン人が判定勝ちを収め、先に偉業に到達している。
「あのときは2-1と判定が割れたが、今度はもっとはっきりとした形で勝ってみせる」
井岡戦から3ヵ月後、タイトルを返上して長いブランクを作ったが、そのプライドには一切、傷がない。
「試合展開は前回と同じようなものになるだろ
う。チャンスがあればKOしたい」
その言葉の前提に敗北の文字は見えなかった。
「ブランクを作ったのは、WBOから指名されたのが、王座決定戦で引き分けた相手(アストン・パリクテ)だった。もう1度戦うのが嫌だったんだ。実戦から離れていても、トレーニングはちゃんと積んでいた」
昨年春、2年以上の間隔をあけてカムバックし、世界王座復帰に向けてようやく扉を開いた。その間に年齢は40歳にもなっている。
「年齢は関係ない。自分がレジェンドであることを証明する戦いになる」
そして、この戦いに関しては「2月からトレーニングを始め、5月に井岡との対戦という話を聞いたが、井岡に対しての特別な練習はやっていない。ただ、ハードハードなトレーニングを積んできただけだ」
その口ぶりには自信だけが漂っていた。
会見後にはリングに入り、シャドーボクシング、ミット打ちとラウンドの区切りなく10分ほど動いた。セミクラウチングの低い姿勢から打ち出す、多彩な左のパンチが光る。
抜群の安定感と攻防の深みが持ち味の井岡の雪辱が期待されるが、楽な試合にはなりそうにない。
文◎宮崎正博 写真◎志成ジム提供