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2020-08-18

村田、井上、井岡、そして田中。トップスターたちの初陣

誰にとっても『最初』はある。村田諒太(帝拳=WBA世界ミドル級チャンピオン)、井上尚弥(大橋=WBAスーパー・IBF世界バンタム級チャンピオン)、井岡一翔(Ambittion=WBO世界スーパーフライ級チャンピオン)、田中恒成(畑中=WBO世界フライ級前チャンピオン)。日本のトップを駈けるスター選手のデビュー戦は、いずれも衝撃的でさえあった。ボクシング・マガジン9月号では、彼らのデビュー戦を克明にダイジェストしている。

上写真=デビュー戦で現役OPBF王者を圧倒した村田(左)

 日本に生まれ出た約半世紀ぶりの五輪ボクシング金メダリストのデビュー戦は、空前のスケールで企画された。東京・両国国技館のメインイベント6回戦。当時は三迫ジム所属としてリングに立った村田の相手は、なんと現役の東洋太平洋ミドル級チャンピオン、柴田明雄(ワタナベ)だ。番狂わせの予感も走った。だが、村田は開始ゴング直後から持てる力のすべてを全開する。まさしく風神のごとき猛威を振るうパワーファイトで、柴田を蹂躙していった。

 井上尚弥。今思うなら、をの能力も目盛り半分くらいしか開栓されていなかった。それでもすごかった。元フィリピン・チャンピオンのクリソン・オマヤオを初回から右ボディショットで倒す。その後も無限の強さを発揮し続けた。当時からモンスターと称された井上だが、練りに練ってさらに大きく積み上がった今の戦力をなんと表現しよう。もはや、全能の神ゼウスのひざ元くらいにたどり着いているのかもしれない。

 精巧なファイト職人、井岡は最初からたっぷりとその奥行きの深さを見せつけた。大阪府立体育会館8000大観衆の前で、タイ・フライ級1位トンタイレック・ポーウィラシンを、ありとあらゆるコンビネーションで切り刻んた。以後、日本人として前人未到の世界王座4階級制覇を果たした井岡。発想をさまざまな角度から交え、比類なきテクニシャンとして輝き続ける。

 センスとスピードなら、井上尚弥に伍する。そんな前評判を証明したのが田中恒成のデビュー戦だった。相手はWBO6位にランクされるオスカー・レクナファ(インドネシア)。初回からダウンを奪い、その後の展開からもあちこちから高い能力が光る。キャリア15戦にして3階級制覇。それでもまだ若手成長株の一翼。そんな田中の7年前はまだ現役の高校生だった。

最後は左のボディショット。井上は豪快にデビュー戦を飾った

井岡(右)はありとあらゆるコンビネーションブローを用い、タイ1位を追いつめる

高校3年生のスーパールーキー、田中は初回、世界ランカーからいきなりダウンを奪った

写真◎BBM

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ボクシング・マガジン 2020年9月号

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