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2022-07-29

アントニオ猪木が23日間全20戦過酷な5カ国欧州ツアーで6試合のフルラウンド…新日本プロレス歴史街道50年(49)【週刊プロレス】

アントニオ猪木vsローラン・ボック

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フルタイムといえば通常、結果は「引き分け」。しかし、アントニオ猪木が闘ったフルタイムの中で唯一、黒星がつけられた試合がある。

その相手はローラン・ボック。1978年秋、欧州ツアーに参戦した際の一戦。あの猪木が人形のように何度も放り投げられるシーンが強く印象に残っている。ラウンド制、硬いマット、独特な会場の空気と相まって、どこか“地下プロレス”的な雰囲気が「ワールドプロレス」を通じて日本にも伝えられた。

23日間で全20戦、8度の国境越えを含む5カ国をサーキットする過酷なスケジュール(国境を越えた1日2試合が2度組まれていた)で、さすがの猪木も万全のコンディションに程遠い点を差し引いても日本のファンには衝撃的なシーンだった。その欧州ツアーで、猪木は実に6試合もフルラウンドを闘っている。

「キラー・イノキ」と銘打たれた欧州チャンピオンシリーズ。そのシリーズ名からわかるように、包囲網が敷かれた中に猪木は飛び込んでいった。

1978年11月7日(現地時間、以下同じ)、西ドイツ・ラーベンブルグにおける開幕戦の相手はウィリエム・ルスカ。そして翌8日には早くもデュッセルドルフでボックと対戦。3戦目(11・9フランクフルト)はカール・ミルデンバーガーと異種格闘技戦をおこなっている。

その後、猪木に向けられた刺客は、ジャック・デ・ラサルテーズ、ウィルフレッド・デードリッヒ、ユーゲン・ウィスバーガー、オットー・ワンツ、チャールズ・ベルハルスト(ジョニー・ロンドス)。純粋にプロレスラーと呼べそうなのはワンツとベルハルスト程度。ボクシング出身もいれば、レスリング出身者は五輪代表レベルやシューターと恐れられている存在。まさに毎試合が異種格闘技戦のようなツアーだった。

いずれも4分10ラウンドでおこなわれたが、全20戦のうちラサルテーズ、ルスカ(2度)、ボック(判定負け)、ワンツ、ウィスバーガーと6試合がフルラウンド。60分ではないが、これほどまでにフルタイムを集中して闘った選手は少ない。

橋爪哲也

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