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2022-03-24

マスクド・スーパースターが見た前田日明vsアンドレ・ジャイアント不穏試合の舞台裏…新日本プロレス歴史街道50年(32)

前田日明vsアンドレ・ザ・ジャイアント

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 第3弾となるマスクド・スーパースターの2002年のインタビュー再録。今回はベストパートナーのひとりであるディック・マードック、そして1986年4月29日、津市体育館でおこなわれた前田日明vsアンドレ・ザ・ジャイアントの一戦について語ってもらった。これは流星仮面から見た真実である…。
※記録、表記は当時のまま

――初来日から日本での生活習慣には問題なかったですか?

スーパースター 特になかったね。ピーター(ミスター高橋)がいろいろとサポートしてくれたしね。食事にしても特に苦労したことはなかった。ただ朝食で、日本人が魚を頭から全部食べるのにはビックリしたけど(※おそらくめざしを食べていたのだと思われる)。ピーターも平気な顔して食べているから、私もチャレンジしてみたよ(笑)。

――日本のファンは、あなたとディック・マードックのタッグチームも印象に残っています。

スーパースター ハハハ、マードックか。私も思い出に残ってるよ。彼は面白い男だった。グッドシェイプとはいえないけどタフだった。彼は常にマイペース。彼には自分の道があるんだよ。その道をのんびりと、楽しみながら歩いてる感じだったな。マードックがビール好きなのは知ってるだろ? 彼は毎日たくさん飲んでたよ。少しのフードでたくさん飲むのがマードック流。逆にたくさんのフードで少しだけ飲むのがスーパースター流。でも、彼とのツアーは楽しかった。試合でもエンジョイできたよ。ただ、早くして亡くなったの残念だ。もう、彼のようなキャラクターは出てこないだろうな。そうそう、最後に日本に行ったのはW☆INGだったけど、マードックの誘いだったんだ。でも、プロモーションとしては決していいとはいえなかった。

――ところで、あなたは前田日明vsアンドレ・ザ・ジャイアントの試合を会場で見てますよね? あなたが知ってる範囲でいいんですから、あのような試合になった背景を語っていただけませんか。

スーパースター 確かにリング上の部分だけ見てると、マエダはスマートな闘い方をしてた。アンドレのヒザを蹴って、つかまらないようにすぐ離れる。最後はアンドレがリングに大の字になって、試合にならなかった。でもあの当時、アンドレは毎日飲んでいた。それもケタ外れの量を。それでもアンドレは強かった。前田のあんな蹴りをくらったら、普通なら1発で立てなくなるよ。アンドレは何発も受けながらも立っていたんだから。

 あの試合の前、「前田が『アンドレはチキン(臆病者)だ』と言っている」という話を聞いた。本当かどうかは知らない。それがアンドレの耳にも入って怒っていたんだ。こらしめてやろうとチャンスを狙ってたんじゃないか。そんなところにシングルマッチが組まれたんだから、アンドレはチャンスだと思ったんだろう。だから、ああいう試合になったんだ。まぁ、これは私の考えだけどね。

 マエダのファンはマエダの言い分を支持するだろう。アンドレのファンはアンドレの言い分を支持するだろう。でも、真実というのはそれぞれの言い分を少しずつとったころにあるもんだよ。まぁ、あれはプロとしては失格の試合。闘ってないんだから。プロなら闘って勝ち負けを決めるべき。マエダも勝ってないし、アンドレも勝ってない。試合として成り立たなかった。確かあの試合は、ノーコンテストじゃなかったかな? 私は正しい裁定だと思うよ。

――最後に日本のファンと新日本プロレスにメッセージを。

スーパースター 日本のファンには感謝している。あなたたちがレスリングを理解しているからこそ、私はジャパンでここまでやってこられた。これからも厳しい目を持っていてほしい。ニュージャパンには、これからもいろんな意味でメジャーリーグであってほしい。レスラーが誇りを持って闘える場を提供し続けてもらいたい。

――マスクド・スーパースターは素晴らしいキャラクターだと思います。このマスクを誰かに継いでもらいたいとは思いませんか?

ビル・イーディ ノー。彼とはいい友達だから。それに、このマスクを汚さないレスラーがいるとは思えないしね(笑)。
(この項おわり)

橋爪哲也

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