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2022-08-10

ブルーザー・ブロディ相手にアントニオ猪木がノンタイトル戦で60分フルタイム…新日本プロレス歴史街道50年(50)【週刊プロレス】

アントニオ猪木vsブルーザー・ブロディ

新日本プロレスにとってもアントニオ猪木にとっても、8年ぶりの60分フルタイムとなったのが1986年9月16日の大阪城ホール。対戦相手は“超獣”ブルーザー・ブロディだった。

前年3月、電撃的に新日本に移籍してきたブロディは、後楽園ホールに背広姿で登場。翌日の記者会見では、「猪木の目にバーニング・スピリットを見た」との名言を残し、その言葉はシリーズにまで冠された。その後、猪木とは半年間で6度、シングルマッチで対戦。乱発された切り札カードからは、当時の新日本が苦境に立たされていたことを物語っている。そして……。

前年(1985年)12月、「IWGPタッグリーグ戦」最終戦をボイコットしたブロディ。プライドが傷つけられたと伝えられたものの、その原因は語られることなかった。ブロディはシリーズ終了後に支払われる予定だったギャラを受け取らずに帰国した。

新日本サイドもトップスターではあるもののプライドが高く、扱いに手こずっていたとあって追放に処していた。しかし、同シリーズ直前に遠征したハワイで猪木が日光浴しているところにブロディが姿を現し、緊急会談がおこなわれて復帰が決定したのだった。

復帰戦でいきなり、11カ月ぶりとなる猪木との一騎打ちが組まれたが、これまでのいきさつを考えると、どのような事件が起きるかわからない。そのため中継(録画)は翌19日の福岡国際センター大会に譲り、大阪城ホール大会はノーTVでおこなわれた(一部ダイジェスト放映。のちにビデオ化して販売)。

一発一発の破壊力は衰えていないブロディだったが、前年までの闘いのような畳みかける攻撃は見受けられず。あえて時間を延ばし、どこか猪木を見下しているような闘いぶり。それもまた、ブロディのプライドが成せる業。結局、タイムアップにまでもつれ込んでしまったという印象。

同年暮れの「ジャパンカップ争奪タッグリーグ戦」への参戦が発表されながら来日せず。特別試合として予定されていたアンドレ・ザ・ジャイアント戦、前田日明戦は夢のままに終わってしまった。試合をするかわりに、預けたままにしていた前年暮れのタッグリーグ戦のギャラを受け取りに来ただけとの見方もできる。
 
わずか1年半で7度のシングルマッチがおこなわれた猪木とブロディの一連の闘いは、肉体的よりも互いに自分の世界に相手をいかにして引き込むかの闘いだった。まさに超獣は台風のように新日本マットを駆け抜けていった。

翌1987年、ブロディが全日本プロレスにUターンしたため、プライド高い両者の闘いは決着がつかぬままフェードアウト。一方で、ノンタイトル戦での60分フルタイムもまた、珍しい記録として日本マット史に刻まれた。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2197 (2022年8月24日号/8月10日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

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