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2022-08-14

【ボクシング】但馬ミツロがわずか69秒で日本ヘビー級王座獲得!

プロ2戦でベルトを巻いた但馬(写真は4月の試合より)

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 14日、大阪府・エディオンアリーナ大阪第1競技場で行われた日本ヘビー級王座決定戦10回戦は、同級1位の但馬ブランドン・ミツロ(27歳=KWORLD3)が、韓国同級チャンピオンのイ・ソンミン(31歳=韓国)を初回1分9秒でTKO。4月のプロデビュー戦に続く1ラウンドKO勝利で、あっさりとベルトを巻いた。

※JBC(日本ボクシングコミッション)は、人材が不足している階級等の場合、外国籍選手との日本タイトルマッチを承認している。日本ヘビー級はランキングに但馬1人しかいないため、この試合が「日本ヘビー級王座決定戦」と認められた

 開始1分手前まで、但馬は“いつもどおり”まったく手を出さなかった。ガードを固め、韓国王者に好きなようにその上を打たせた。最初こそ、不思議そうな表情で恐る恐る左ジャブ、右ストレートを打ち込んでいたイだったが、途中からある程度の力感を込めて打ち始める。しかし、ガッチリとした但馬のガードはビクともしない。そればかりか、打たせながらリズムを取り始めている。と、突然、左ストレートから右アッパーカット。これがまともにイのアゴを跳ね上げると、但馬は一気に左右をまとめる。レフェリーは、アッパー一撃で気を失いかけた韓国王者を認識し、慌てて割って入る。実質、アッパー1発で決まった試合だった。

 4月のプロデビュー戦の再現VTRを見ているかのようだった。前戦も、左ボディブロー一撃を決め、そのまま59秒でストップ。あまりの実力差に、会場に詰めかけたファンもただただ唖然とするしかなかった。

「このベルトは始まりにすぎない」とリング上でアピールした但馬。亀田興毅会長が以前から「30歳くらいまで本場アメリカで鍛えさせたい」と話しているとおり、いま、この時期に様々な経験を積むことができれば、夢も夢ではなくなるかもしれない。そんな期待を抱かせる素材であることは間違いない。

宮崎&大沢は世界ランカーに屈す

復帰3戦目で痛い敗北を喫した宮崎(写真は4月の試合より)

復帰3戦目で痛い敗北を喫した宮崎(写真は4月の試合より)

 一気の浮上を賭けて、世界ランカーとの対戦に臨んだ2選手が、厚い壁に痛烈に跳ね返された。元WBA世界ミニマム級チャンピオンで現WBO世界ライトフライ級14位の宮崎亮(33歳=KWORLD3)は、WBC同級8位アサエル・ビリャル(28歳=パナマ)に初回2分43秒TKO負け。元OPBF東洋太平洋フェザー級王者で、現日本同級4位の大沢宏晋(37歳=オール)は、WBO世界同級15位ジョー・サンティシマ(26歳=フィリピン)に5回1分56秒TKO負けを喫した。

 身長で13cm上回るビリャルは、中南米選手特有のゆったりしたリズムから長く強い左、右アッパー、右ストレートを伸ばしていく。距離を縮めて入り込もうとする宮崎は、それを寸断されると、ロープを背負いボディワークを入れながら誘いをかけるのだが、強烈な連打に晒された。そこを脱出した宮崎は、ふたたびステップインを試みようとしたが、ビリャルの右から左フックを打ち抜かれ、ヒザを揺らしてたたらを踏んでしまった。一気に決めにかかるビリャルに、なんとかしがみついた宮崎だったが、左フックをフォローされるとふたたびガクリ。レフェリーが抱え込んで救い出した。
 IBF14位、WBO15位にもランクされるビリャルの戦績は23戦19勝(15KO)1敗3分。ジム移籍、復帰後3連勝とならなかった宮崎は32戦26勝(16KO)3敗3分。

冷静に挽回を図った大沢だったが……(写真は昨年9月の試合より)
冷静に挽回を図った大沢だったが……(写真は昨年9月の試合より)

 細かい足運びと左ジャブで、距離と位置取りを丁寧に作っていた大沢だったが、サンティシマも同タイプで、しかも1発の迫力では上回っていた。強い右ストレートを上下に見せておき、2回には大沢のワンツーに左フックを合わせてくる。このタイミングと感覚に、サンティシマは大いに手応えを感じたようだった。邪魔な大沢の左には右クロスを合わせ、“強く厄介な右”を過剰に意識させておき、3回、満を持して左フック。それもボディに見せておいて上へ返す“役者ぶり”だった。
 顔色ひとつ変えず立ち上がった大沢は、冷静に左からの立て直しを図ったが5回、距離を詰めてくる大沢に右クロスを見せておき、左ダブルからワンツーを引き出して、ふたたび左フック一閃。またもキャンバスに倒れた大沢に、レフェリーは続行を許さなかった。
 技巧派・大沢を、巧みにおびき寄せる駆け引きの上手さを見せたサンティシマは26戦22勝(19KO)4敗。敗れた大沢は47戦37勝(21KO)6敗4分。

文_本間 暁(ABEMA視聴)
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