
新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響により、日本時間の今日26日、アメリカ・ラスベガスで開催予定だった世界バンタム級3団体統一戦が延期となったWBAスーパー・IBF同級世界チャンピオン井上尚弥(27歳=大橋)が、所属ジムを通じてコメントを発表した。
上写真=いちばん悔しい想いをしたのは尚弥。しかし、その気持ちを封印し、黙々と励む
日本国内だけでなく、海外のメディア、ファンも「本来だったら……」と楽しみにしていた注目の一戦。しかし、「尚弥は延期を伝えた時と同じように普段どおりの練習、木鶏の如く微動だにせず」と大橋秀行会長が語るように、“幻の決戦当日”を迎えても、とうに気持ちを切り替えて励んでいる。
「試合延期をしっかりと受け止めているので、心境に変わりなく、来る日に向けて調整中です。焦りは何ひとつありません。現在はオーバーワークでも練習不足でもなく、スキルを落とすことなくキープしています」(尚弥)
かなり以前から取り組んでいる、太くて重いロープを使ったフィジカルトレーニング。もうすっかりお手のものだ
マイアミで調整を続け、ラスベガスに移動してトレーニングに励んでいるWBO王者ジョンリール・カシメロ(33歳=フィリピン)について、トップランク・プロモーションのボブ・アラム氏は、「彼のチームとは別の試合についても話し合う」と、一戦挟むことも示唆。だが、「カシメロ選手もトレーニングができる環境にあるとの情報なので、しっかりと仕上げてほしい。それ以外にこちらにもしっかりとした情報が入っているので気にしていません」と、尚弥は泰然自若としている。
今後について大橋会長は「状況にもよりますが、カシメロ戦を第一に考えています。しかし、この世界情勢ですので、状況の変化には対応したい」。尚弥は「必ず3団体統一戦を実現させますので、ファンの皆さん、楽しみに待っていて下さい」と語りかける。
親交の深いWBA世界ライトフライ級スーパーチャンピオン京口紘人(26歳=ワタナベ)が描いた尚弥像。このイラストは、両チャンピオンのサインが書き込まれ、SNSを通じてファンにプレゼントされた。自宅待機を余儀なくされているファンにとっては、たまらない“イベント”となった 写真提供/京口紘人
住まいもジムもある神奈川県では、今月7日から「緊急事態宣言」が発令され、尚弥自身も不要な外出を自粛している状況。だが、ふたりの子どもを抱える、守るべき存在のある父としての自覚も当然強い。
「今はみんなが辛い状況です。一人ひとりの意識で守れる命が助かり、近い将来を変えます。そのためには不要不急の外出を控え、人との接触を減らし、この大変な状況を乗り越えましょう」。力強く、世界中の人々へ呼びかけている。
写真提供_大橋ボクシングジム
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